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更新日:2018年12月26日

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保持林業 ―木を伐りながら生き物を守る―

「保持林業―木を伐りながら生き物を守る―」表紙の写真

  • 編集:柿澤宏昭、山浦悠一*、栗山浩一
    *当所職員
  • 発行:築地書館
  • 定価:2,700円(税抜き)
  • 発行年:2018年11月19日
  • ISBN:978-4-8067-1570-2
  • 内容
    戦後さかんに造成された日本の針葉樹人工林が主伐時期を迎え、各地で伐採されるようになりました。成熟する資源状況を背景に、木材自給率の向上が期待されています。一方世界的には、森林の皆伐に対する批判を受けて、保持林業(retention forestry)が1980年代に提案され、森林認証の認定要件とされるなど、大きな普及を見せています。保持林業では、森林を伐採する際、樹木の一部がその後の生物多様性や生態系の回復のために残されます。こうしたなか、北海道の道有林で、アジア地域初となる保持林業の大規模実証実験が行なわれています。この実験では、トドマツ人工林を主伐する際、混交する広葉樹を伐採せずに残しています。本書はこの実証実験を紹介しつつ、保持林業の海外での展開・普及、研究で明らかになってきたこと、日本国内での見こみや課題、さらには森林における生物多様性の保全について、生態学や林学、社会経済学的な視点からまとめました。

<目次>
はじめに
第1章 保持林業と日本の森林・林業
コラム1 ニホンジカが多い時代の林業とは
コラム2 針葉樹人工林の海に浮かぶ広葉樹
コラム3 広葉樹が混交した針葉樹人工林の社会的価値
コラム4 草原性チョウ類の保全場所としての幼齢林
コラム5 イヌワシと林業との共存
第2章 アメリカ合衆国における保持林業の勃興
コラム6 順応的管理
第3章 カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の事例 ── 保持林業が渓流生態系に及ぼす影響
第4章 保持林業の世界的な普及とその効果 ── 既往研究の統合から見えてきたもの
第5章 北海道の人工林での保持林業の実証実験
第6章 保持木が植栽木・更新へ与える影響
第7章 保持林業と複層林施業
第8章 諸外国の生物多様性を保全するための制度・政策
第9章 日本における生物多様性配慮型森林施業導入の課題と可能性
第10章 生物多様性の保全を進める新たな手法
おわりに
索引

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