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ホーム > 研究紹介 > イベント > 1996~2010年イベント・セミナー一覧 > 平成20年公開シンポジウム開催報告およびQandA

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平成20年公開シンポジウム開催報告およびQandA

10月28日公開シンポジウム開催報告

森林総合研究所関西支所は、平成20年10月28日(火曜日)に京都リサーチパーク(西地区4号館ルーム1)にて公開シンポジウム「これからの里山の保全と活用・・・里山を健康に保つために何をすべきか・・・」を開催しました。京都駅から一駅とやや交通の便が悪い場所ではあったにも関わらず、自治体関係者・自然保護ボランティア・里山管理に関わる方々等をはじめ約120名もの参加者があり立ち見がでるほど盛況に行うことが出来ました。

講演の内容については、約8割の方が「大変わかりやすかった」とアンケートに答えて、参加者の多くに今回のシンポジウムの内容をご理解頂いたと思います。

また、意見・要望では「問題点と今後の課題が整理できた」、「公開シンポジウムや社会への働きかけで市民に意識を喚起してほしい」、「利用が保全につながる」、「問題はどれだけ人が関与できるか」、「新しいライフスタイルの提案を」、「関西支所が中心の実践的取組を望む」、「マツ枯れ・ナラ枯れ・獣害が相互に関連することがわかった」などがありました。里山保全関係ボランティアの方々からは、「活動を行っているが、これで良いのか判断できない」、「(木を)切りっぱなしになっているが・・・」などの不安を訴える声があり、今後の指導(科学的根拠に基づいた誘導)や自治体に対するアドバイスの必要性が強く感じられました。今後、森林総合研究所関西支所では、実証試験地をもうけ、里山の維持・活用に関する研究を進めるとし、今回のシンポジウムを締めくくりました。

会場の様子 質疑と議論の様子

10月29日現地検討会開催報告

おもに森林技術者・管理者を対象(1日目の公開シンポジウムに参加できる方限定)に、公開シンポジウム翌日(平成20年10月29日(水曜日))に琵琶湖西岸地域をめぐる現地検討会「滋賀県の里山の特徴とナラ枯れの発生状況」を開催しました。

ナラ枯れ激害地では、奥(森林資源管理研究G)による里山集落の解説のあと、衣浦(生物被害研究G)によるナラ枯れの解説をびわ湖バレイスキー場の駐車場周辺の調査地で行いました。びわ湖バレイスキー場は、里山林を活用して自然体験実施などの企業活動を続けており、ナラ枯れの拡大に強い不安を持っています。自然景観をいかした観光を目指す同地域では、里山の管理は重要な課題と認識されていることが現地検討会を通して示されました。

伊東(多摩森林科学園・チーム長)は、平成18~20年度に実施した研究調査地内において、成果に関する詳細な説明を行いました。前日の公開シンポジウムで解説した内容について現状を示し、里山林には急激な植生変化が起こっており、将来持続しない(高木種が更新しない)危険性について、参加者自身の目で確認してもらいました。

当日は、解説者:シンポジウム講演者(黒田慶子・大住克博・奥敬一)、衣浦晴生(関西支所)、伊東宏樹(多摩森林科学園)を含め32名の参加がありました。また、韓国山林科学院および山林庁からも4名の参加がありました。

 

びわ湖バレイスキー場の駐車場周辺(滋賀県大津市) 滋賀県立朽木いきものふれあいの里(滋賀県高島市)

公開シンポジウムQandA

【ナラ枯れ、樹病に関する質問】

Q1:

ナラ枯れの被害が大径木に多いということを、もう少しくわしく教えてください。また、次々と小径木に移行して行くことになるのですか。
A:
カシノナガキクイムシは、大径木を好み、大径木で大量に繁殖します。即ち、大径木ほど長い孔道を延長することが可能であり、繁殖成功度=1孔当たりの子世代の頭数が高くなるというデータが得られています。また、直径10cm以下の樹木では、ほとんど繁殖しないことが知られています。なお、大径木の中でも、旧薪炭林は株立ちになっている特徴があり、根は樹木一本分でありながら地上部は巨大です。一本立ちの個体に比べて、株立ち個体が枯れやすいことが知られており(経験的に)、根からの水分供給が不足しやすくて、枯死を助長している可能性が示唆されます。ご質問のように多くの場合、林分のなかで最も大きいクラスのナラが最初に加害を受け、年々小径木まで加害を受けるようになります。

Q2:

直径や樹齢が大きい、もしくは高い個体でナラ枯れ枯損率が高くなるという根拠のグラフがあったと思うのですが、必ずしもそうなっていないように見えました。どのくらい若ければ枯損しない、もしくは感染しないのでしょうか。
A:
調査した林では、すべてのナラ類が全部一度に枯れていません。自然の中で起こる現象にはいろいろな条件が絡み合っていますので、直径10cm以下であれば絶対に枯れないとか、15cm以上であれば全部枯れるとは言えないのです。感染する樹齢、感染しない樹齢という言い方もできません。多数の研究で観察されたことがらの共通点から、「若い樹木(直径10cm程度以下)はカシノナガキクイムシの繁殖が難しいので枯れにくい」という結論を出しています。

Q3:

ナラ枯れの被害地域が日本海側中心でそこから被害地域が南に拡がっているように見えます。里山の利用が停止して林齢が増加したのが主な原因であれば太平洋側でも同時に被害が発生していてもおかしくないと思うのですが、日本海側で先に被害が発生した理由があれば教えてください。
A:
日本海側や東北地方で枯死が多い地域は、ミズナラ林が多いという特徴があります。ミズナラはコナラよりこの病気に弱い樹種です。太平洋側では、アカマツの分布地域が広い、紀伊半島では照葉樹(常緑樹)の地域が多いという特徴もあります。

Q4:

ナラ枯れの要因は「樹齢」だけなのでしょうか。被害の全国分布を見ていると、海岸部が顕著に思われます。10年程前、「日本海側に被害が多いのは、中国からの偏西風による酸性雨が要因である」と教えられたことがあります。
A:
「酸性雨が原因である」という解釈は、研究データに基づいたものではありません。日本海沿岸部に被害が多いこと、および枯死したナラを観察して菌根菌がほとんどついていなかったことから、酸性度が高まった酸性雪によって菌根菌が損傷し、その結果ナラが枯れるという説が90年代に提唱されました。しかし菌根菌がなくなるのはナラ枯損の「原因」ではなく「結果」であることが証明されています。ナラタケ説についても同様です。なお、1930年代など昔のナラ枯れについて、薪炭林を放置した過熟林が枯れたと記録されています。酸性雨がひどかったと考えられない時代に集団枯死が発生していることも、酸性雨(雪)説が支持されない理由です。

Q5:

ナラ枯れで残った林でコナラ、もしくはミズナラの天然更新は可能でしょうか。ササは場所によってはほとんどありません。シカは多数います。
A:
論理的には、母樹となるナラ類が残っていて、十分なドングリが供給され、実生が伸びるための光が十分であれば更新は可能ということになります。しかし実際に実生からの更新が見られるのは、林の周辺や明るいマツ林の中などであって、ナラ類の林、あるいはそれらを抜き伐りした林の中に、実生が多数成長していく状況はほとんど見られません。林内で多数の更新を期待するためには、下層植生の刈り払いなどにより、明るさを確保することが必要でしょう。また林内では、落下したドングリがネズミやイノシシ、シカなどに食い尽くされてしまうことも、大きな阻害要因になっているようです。

Q6:

所の公園にコナラ、クヌギなどがあり、うち直径40cm位の一番太い木の根元に沢山フラスが出ています。カシノナガキクイムシかどうか同定したいのですが、同定の方法について教えて欲しいのですが。また、落ちた実や落葉などからウイルスが拡がりますか。
A:
カシノナガキクイムシの同定は、専門家でなければ難しいと思ってください。枯れかけた木には様々なキクイムシ類がやってきます。ナラ枯れの拡大を防ぎたいのであれば、枯死木の殺虫を行う必要があります。この病気はカシノナガキクイムシが伝播します。ウイルスではありませんし、ドングリや落ち葉から他の木に伝染することはありません。

Q7:

里山にある遺跡の管理保存計画を策定しています。植物の現地調査で、遺跡内のコナラ、ミズナラにナラ枯れが見られます。発注者からは樹木が倒れたりすることによって、遺跡が壊れないか心配をしているがどうか、と質問を受けています。現時点では枯死しているものはほとんどありませんが、穿入口、フラスが確認できる樹木(個体)を放置してよいか、伐採した方が良いか判断できずにいます。長い目で、経過を観察し、問題が進んだ時点(枯死する等)で対応するしかないと思っていますが、どれぐらいの期間を見すえていけば良いのかアドバイス等ありましたら、お願いします。
A:
枯死しない場合、急激に腐朽して倒れることは少ないと思われます。枯死木が出た場合、腐朽はかなり早く進行し、数年で倒木となる場合がありますので、できるだけ早く対処した方が良いでしょう。枯死の翌年の春?夏にはカシノナガキクイムシが羽化して幹から飛び出します。他への被害拡大を防ぐためにも、伐倒するならば、羽化の時期が始まる前に実施すべきです。判断に迷うことがありましたら、直接ご相談ください。

Q8:

ナラ枯れにより地下水、琵琶湖の水質に影響が出て来ていますか。
A:
琵琶湖周辺での枯れが激しくなったのは2008年です。今後の動向を調査すれば、変化が有るかどうかわかるかもしれません。

Q9:

菌と虫の関係は、お互いどのようなメリットがあるのでしょうか。
A:
ナラ類を枯らしている菌は、カシノナガキクイムシに運んでもらわなければ、新しい生きている木に感染することができません。また、カシノナガキクイムシは、菌に樹木を殺してもらうことによって、繁殖しやすい環境を得ることができます。穿入した木が生きている場合には、カシノナガキクイムシの繁殖成功度は1孔当たり数頭ですが、枯死した場合には何十頭にもなります。このように、菌が感染した樹木が枯れることは、菌とカシノナガキクイムシ双方にメリットがあります。

Q10:

山形、新潟など早い時期にナラ枯れが進んだ地域で、放置したままのところは、その後どのように変化していますか。
A:
山形県では調査中です。激害地で、そのあとに高木が育たずヤブのようになる場所があるため、防災上(山地崩壊、土壌の流出など)問題が大きいと指摘されています。全ての場所を守ることはできなくても、防災上重要な場所は対策が必要です。

Q11:

カシノナガキクイムシの被害は現在も拡大しつづけているのですか。キクイムシの分散能力(移動能力)はどのくらいですか。被害が自然に終息する可能性は低いのですか。
A:
残念ながら、被害は拡大しています。また、新たな発生地では、年々被害量が増えています。移動距離は正確にはわかっていませんが、数kmとも言われています。長さ5mm程の微小な昆虫であること、新潟等での被害拡大速度が西方向より東方向のほうが速く、風向きと関係していることなどから、風に吹き流されることも多いと推測されます。カシノナガキクイムシが繁殖に使える太さの樹木が無くなれば被害は終息していきますが、その後、アセビやサカキのような背丈の低い樹木の多い林になると土壌流出や斜面の崩壊が心配です。

Q12:

ナラ枯れに周期はありますか。ナラ枯れ予防(ビニール被覆、樹齢注入)に対する意見等があったらお願いします。
A:
周期といえるものは無いようです。予防については、被害発生地が近くにある場合、特定の重要な樹木の幹をビニール被覆し、飛来したカシノナガキクイムシの穿入を防ぐ方法や、薬剤(殺菌剤)を健全木の樹幹にあらかじめ注入し、カシノナガキクイムシが穿入しても枯死を予防する方法があります。詳細は、林業改良普及双書No.157「ナラ枯れと里山の健康」(黒田慶子編著、全国林業改良普及協会発行)をご参照下さい。

Q13:

枯死した森林から放出されるCO2量は単位面積当りどの程度でしょうか。また、樹種により異なりますか。
A:
樹木の太さや本数が場所により大きく異なりますので、森林の単位面積あたりのCO2放出量の計算は困難です。枯死木の体積(材積)がわかる場合、分解して出るCO2の量を計算することは可能です。樹種による差は、木質部の比重の差により出てきます。比重の高い(重い)樹木が分解する時に放出されるCO2の量は体積で比較すると多くなります。

Q14:

枯死している里山の森林面積は日本全体でどの程度ですか。
A:
ナラ枯れの発生地では、1km2の林のすべてのナラ類樹木が枯れるのではなく、何か所かまとまって枯れる場合や数本しか枯れない場合などがあります。また、森林により、ナラ類樹木の割合が異なります。そのため、枯死被害を面積で示すことはしていません。そのかわりに、被害が発生した市町村を地図上に示し、「被害発生地域」という見方をしています。「ナラ枯れの被害をどう減らすか-里山林を守るために-」(森林総合研究所関西支所発行)(PDF:2,999KB)のパンフレットをご参照下さい。

Q15:

公園林にナラ枯れが発生するというのは、コナラ林で40年以上であれば、その林でも発生するということでしょうか。
A:
ナラ類の樹齢だけで枯れやすさを判断するのは困難ですが、枯れる可能性はあると考えてください。初夏以降に幹に小さい穴(爪楊枝のサイズ程度)があき、木粉が出ているようであれば、公園の管理者に通報し、対応してもらうのが良いでしょう。ナラ枯れの場合、枯れたと報告のある樹種はドングリのなる種類全般(落葉ナラ類、カシ類、シイ類、マテバシイ、クリなど)で、ブナを除いた樹種です。

Q16:

現在は、マツ林、ナラ林での枯れですが、今後、どんな他の樹種が想定されますか。
A:
「今後、森林の他の樹種が枯れる恐れはないか」というご質問であれば、予測はできないとお答えするしかありません。一時期、マンサクが枯れたという報告が続いたことがありました(5~8年ほど前)。これはカビによる病気のようですが、被害量の推移は把握できていません。

Q17:

マツ枯れに地掻きは効果がないとのことでしたが、マツの生活に適した環境を作り、マツ自身の体力を上げるような取組を行っても、マツ枯れは防げないのでしょうか。健全なマツでもマツクイムシには無抵抗なのでしょうか。
A:
日本のクロマツとアカマツは、マツ材線虫病(マツ枯れ、マツ食い虫)に極めて弱い種類です。いくら良い環境を作っても、健全なマツであっても、病原体に感染すると枯死する場合が多いのです。北米には抵抗性のあるテーダマツなどがあります。この病気は100年くらい前に日本に入ってきたもので、日本原産のマツは防御の態勢ができておらず、抵抗性が低いのです。たとえば、体力がある人でも鳥インフルエンザに負けてしまうのと似ています。ですから、病原体を運ぶマツノマダラカミキリを駆除して感染の拡大を予防する必要があります。枯れたマツを伐って処分(丸太に入っているカミキリ幼虫の殺虫)することが最も重要です。最近、弱い日本のマツの中で、やや強いものを選び出して、抵抗性マツとして植える方法が進められています。しかしこれも完璧ではなく一部は枯れますので、枯死木の駆除は続ける必要があります。

【里山の植生管理に関する質問】

Q1:

新しい里山林の施業として、低林管理をすすめておられますが、高林管理の里山を維持する場合は低林管理の維持する場合に比べて、維持管理工程はどれだけ違うのでしょうか?
A:
林冠の木を伐採して、萌芽更新の補助のために刈り払いを2~3年行うためには、1haあたり延べ50人近い、あるいはそれ以上の熟練した作業員が必要になるのではないでしょうか。高林管理として林冠木の伐採は行わず、林内の低木などの除去だけを行うのであれば、その何分の1かですむでしょう。それでも、ナラ林の健全さが脅かされるリスクや、将来の更新が難しくなることを避けようと思えば、低林管理という考え方が必要になります。なお、放置され高林化した林も、一旦低林に戻してしまえば、太さも高さも小さくなって扱いやすくなりますので、将来の伐採作業は格段に軽減され、一般の方々も参加しやすくなるでしょう。

Q2:

常緑化する遷移をくい止めてコナラ等、落葉樹林を保つことの意義は何ですか。
A:
常緑樹林/落葉樹林、針葉樹林/広葉樹林、人工林/天然林など、森林には様々なタイプの違いがあります。しかし、多少の違いは無視して大雑把に言ってしまえば、どのような森林でも、それが健全に保たれているのであれば、われわれの物理的環境としては、そこそこに優れているといってよいのではないでしょうか。大切なことは、どこに、どのような目的で、それぞれのタイプの森林を配置するのかということだと思います。人里近くに、日々の暮らしの背景としてある里山域には、地域文化を支え、多くの人々が原風景として愛着を持ち、その保全について社会からの要請も多い森林を、残していく必然性があるのだと考えます。それが、アカマツ林であり、コナラ林であり、さらに地域によっては、常緑樹林であることもあるでしょう。また、そのような里山林は、特有の生物相を維持してきたこと、それが近年の里山林の変容に伴い消失しつつあることも、里山林を以前のように保つことの意義でしょう。さらに、ナラ類の林は、持続的な管理がしやすいこと、優良な薪炭を生産できることから、森林バイオマス利用に最適な森林の一つでもあります。

Q3:

コナラ属にこだわると大変なこともあるのではないでしょうか。また、これまでにひろがりすぎたコナラ林をかえていく良い機会とはとらえられませんか。
Q4:
コナラの早熟性に着目され、コナラ林の純林を目指される理由は何でしょうか。クヌギ、コナラ、アベマキ林でもよいのではないでしょうか。
A:
ナラ枯れに限らず、多数の大木が一斉に枯死すると、山の急斜面では土壌の浸食・流出が起こり、山地崩壊につながる恐れがあります。そのような場所では、森林を維持するための対応策を考える必要があります。今回のシンポジウムでは、このことをお伝えしたいと思いました。もちろん、今ある里山林を全部コナラ属の森林で維持しようとすることは適切ではないでしょう。どの地域にどのような森林を配置していくかということも、きちんと考えていく必要があります。しかし、社会が里山に強い関心を向ける背景には、原風景として、生活の背後にある景観として、ドングリ林への憧憬があることは、尊重する必要があります。また、コナラ属を中心にした里山林は、数世紀以上にわたって国土の1~2割以上をしめた代表的な植生で、里山特有の生物多様性や一定の公益的機能を保持する母体となってきました。それが、この半世紀の間に急速に変化しつつあることを踏まえれば、過去の里山林のある程度の面積を、保全していくことは必要であると思います。天然林、あるいは潜在植生的なものに移行させることも重要な選択肢ですが、技術的には未完成であり、果たして順調に移行させることができるのか、そこで天然林のような安定性が再現できるのかについては未知であるという問題が残ります。そこで、まずはコナラ属について方針を示そうとしたところです。決してコナラ純林を目指そうと申し上げているわけではありません。里山林の当たり前の姿だと思われているコナラ林は、実は人の働きかけの強い影響の上に成立したものであり、放っておけばできるものではないこと、コナラ林を維持しようと思えば、管理が必要であるということを、お伝えしたかったのです。コナラと同様に、クヌギやアベマキ林を成立させるにも、一定の管理が必要となります。

Q5:

低林管理にするのであれば亜高木の他の樹種を選択してもよいのではないでしょうか。
A:
コナラ林は里山を代表する森林であり、その健全さや安定性が、急速に脅かされているために、このシンポジウムではコナラに焦点をあてました。前の質問への回答にも書きましたように、決して、日本中をコナラ林にすべきと申し上げているわけではありません。なお、亜高木種でも良いのではというご質問には、私どもも答えを持ち合わせていません。しかし、ソヨゴ林だとかコシアブラ林だとかいった森林を野外で見ることは、ほとんどありません。それらが、森林としてどの程度安定し、また持続性を持つのかも、まだ不明です。そうであれば、様々な点で一定の評価がある従来からの里山林、その代表であるコナラ林をできるだけ維持していくことが、社会にとってより安全な選択だと考えます。

Q6:

コナラ林をかつてのように若齢林にもどして行って健全性を保つことが、バイオマス利用など多面的にも有効であることがよくわかりました。その場合、新たな施業方法として、実生による更新を重視され、植栽については「時には」とされていますが、技術的にはコナラなど広葉樹植林は難しいのでしょうか。
A:
コナラの植栽は決して難しくはありません。一般的に落葉樹の場合、しおれを防ぐために苗の先を切って植えます。また、落葉樹はどうしても下刈り時の誤伐が多くなりますが、誤伐を毎回繰り返さない限り、その多くは萌芽により再生します。なお、スギやヒノキを木材生産の為に造林する場合と違い、コナラなどの在来樹種を環境保全の目的などで植栽する場合は、遺伝子の撹乱を引き起こさないために、その地域産の種子から育てた苗木を使用するよう努める必要があります。しかし、まだまだ、そのような地域性種苗の供給体制が整っていないため、苗木の確保をまず考える必要があります。

Q7:

コナラ林の作り方はわかりましたが、ナラ枯れの中心であるミズナラではどうでしょうか。
A:
ミズナラもコナラと類似した種特性を持っていますので、基本的には、同じような扱いが有効であるものと考えられます。新潟地方などでは、天然林を短い期間で繰り返し伐採するとブナが減り、ミズナラ林に移行する例が知られています。

Q8:

コナラは再生が早いとのことですが、燃料としては他の樹種と比べて、どんな特性を持っていますか。
A:
コナラやクヌギは、火力が強い上に火持ちも良く、薪として最も優秀な樹種に入るといわれています。同じ二次林の樹種でも、シイやクリは火力が劣り火持ちも悪い、あるいは爆ぜて火の粉が出るなどの理由で、評価が低いようです。このように、薪として優秀で、かつ萌芽により安定的に更新し、薪生産ができるという点で、ナラ類は大変有用な樹種でした。そのために、人々はこれらを里山林の主要な樹種として、管理してきたのでしょう。

Q9:

現在、ニホンジカの食害がひどく、施業方法だけでは里山林の再生をどうにもできない状況だと思うのですが、どのように考えればよいでしょうか。
A:
その通りです。シカの生息密度は地域によりむらがあります。密度が高い地域では、防護柵を設ける必要があります。そのような地域では、費用を掛けて萌芽更新を図るか、放置してナラ枯れのリスクや植生景観の変化などを受け入れるかは、関係者で議論して決めていく必要があります。

Q10:

コナラ林の再生について紹介していただきましたが、クヌギ、アベマキにはない利点が何かあれば教えていただけないでしょうか。
A:
クヌギは、薪炭材やシイタケホダ木として優秀で、商品価値も高いのですが、伐採周期が短い里山管理のもとでは、種子による天然更新が難しくなります。萌芽更新は旺盛ですが、伐採を繰り返すうちに萌芽せず枯死する株もかなり出てきますので、クヌギ林を持続させようとすれば、植栽で補っていく必要があります。アベマキも同様です。それに比べ、コナラは薪炭材やホダ木として優秀であるばかりでなく、早熟で若い林でも種子更新するので、植栽で補う必要性が少なく、持続的に管理しやすい樹種であるといえるでしょう。

Q11:

森林の公益的機能(特に土砂崩れなど)との関連で若年林中心の森林づくりは大丈夫でしょうか。
A:
ナラ類などの萌芽林は、伐採後も急速に森林が回復しますので、防災上の問題は少ないのでしょう。むしろ、マツ枯れやナラ枯れ跡地に、森林が回復しないような状況が続くことのほうが問題ではないかと考えます。

Q12:

昔の人の山の使い方は集落との距離や土壌条件などにによるのでしょうか。
A:
山の使い分けの仕方は、住居からの距離(道路の有無と時間距離が関わります)、標高はもちろん影響していますが、当然、地形・地質・土壌も深く関わっていますし、さらには土地所有の形態も関係しているようです。例えば私たちが調査している滋賀県西部の集落では、採草は土石流がたまりやすい条件の河川周辺でよく行われていたようですし、薪として商品化するためのクヌギは住居からそれほど遠くなく、管理しやすい場所に植えられていました。集落内での取り決めとして山道の下側や谷の最上流は許可なく伐採ができないようにされていました。

Q13:

栃木県の日本で最後まで行われた里山管理は何の目的で、なぜできたのでしょうか。
A:
この地域は、東京に向けた炭の一大生産地でした。炭生産の衰退後は、優良なシイタケホダ木生産地としてのブランドを確立して、現在まで続いています。その陰には、森林組合などによるコナラやクヌギの低林管理技術の追求と、普及の努力がありました。その経営システムについては、近刊の好著「補助事業を活用した里山の広葉樹管理マニュアル」(津布久隆著、全国林業改良普及協会発行)をご覧ください。

Q14:

里山の手入れを兼ねて森林放牧という方法がありますが、その有効性をどの様にお考えでしょうか。再生区域と放牧区域を分けるなどの手法が有効でしょうか。
A:
スギやヒノキの人工林で、牛を放牧して下刈りの代わりすることは、近年しばしば行われます。里山の手入れに絡めた話しとしては、滋賀県近江八幡市での事例などがあり、その有効性が確認されてきています。東北地方などでは、放牧した牛が周辺の森林に入り込んで、ササなどの下草を食べ、明るくなった林内にミズナラが多数更新した例が知られています。食害については、ナラ類はタンニンを多く含むため、どちらかというと食べられにくい方に入ると思われますが、結局は動物の密度の問題であり、頭数が増えて餌が不足しだせば、ナラ類も食べられてしまいます。

【今後の里山の保全と活用に関する質問】

Q1:

公共事業ではなく、社会的支援により里山に関わる森林施業体系を変えていくことは可能でしょうか。
A:
公共事業として里山を維持することには、いろいろな問題があると考えています。まず、里山は地域の風土や歴史の産物であり、その有様は一様ではありません。公共事業にすると、地域の環境や文化との関連づけが失われ、仕様書による一様な整備に陥りやすいでしょう。また、里山には持続的な管理が必要ですが、公共事業の場合、将来にわたり管理することはなかなか難しいのではないでしょうか。
その意味で、薪生産など、地域社会による何らかの森林利用をとりあげることで里山林の管理を動機付け、持続的な管理を実現できないかと考えています。しかし、そのような森林(バイオマス)利用はコスト的に成り立ちにくいので、市場にまかせても進展しないでしょう。その足りない部分に、意識的に社会的支援を導入して、動き出す駆動力とすること、さらには、そのような地域内での森林利用システムをコーディネートする上で、行政の役割が重要であると考えます。

Q2:

薪ストーブは現実に住宅地の中や、マンションでは設置は困難ではないでしょうか。その場合、ペレットストーブは有効と思いますが、この場合のペレット製造におけるエネルギ使用はどのくらいでしょうか。
A:
木質燃料を用いる方法は、地域の実情にあわせて、様々な選択肢で対応していくことが重要です。家屋が密集しておらず、資源となる森林が近いところでは、流通、製造コストのかからない薪が比較的有効でしょうし、都市部であればご指摘の通りペレットストーブや更には、共同の熱供給施設などが有効かもしれません。また、ペレット製造にかかるエネルギーを調べたデータはそれほど多くありませんが、あるメーカーの事例では原料輸送から梱包までの過程でCO2の排出量はペレット1kgあたり0.117kgとされており、同じ熱量あたりに換算するとエアコンやガスストーブなどの暖房機器に比べて非常に少ないCO2排出量となっています。

Q3:

「里山の○○を利用し新しい利用の仕組みをつくる」という案をいくつか提示されていましたが、それに関してこれまでにあった、もしくはこれから起こり得る問題点はありますか。
A:
資金的な問題、森林を扱うための技術的な問題、継続していく中で関わっている人々の動機付けが維持できるかどうかといった問題など、現場での実際の事業や活動には様々な問題が横たわっています。活動の中心となる人の世代交替などもこれから問題になってくるでしょう。いずれにしても、里山の維持管理や利活用には、どこでも適用できる絶対確実な手法というものはありませんから、少しづつできるところからやってみて、うまくいったところと、問題になるところをきちんと整理していくことが必要です。専門家へも遠慮なく相談することが大事ですが、そうした整理ができていると、相談を受ける方も検討しやすくなります。また、このような新しい取り組みを継続していくには、十分な議論と検討は重ねつつも、「楽しさ」を忘れずに関わっていくことが大事だと考えます。

Q4:

里山保全には、現実にはお金の問題、土地所有の問題がどうしても残ります。林野庁はお金についてどういう方向を示しているのでしょうか。
A:
ご指摘の点は重要な問題です。所有権などは、法制度上の問題であり、今後の政策レベルで検討されるべき課題だと思います。私どもの立場としては、実際の管理手法上の情報を積み上げていくことにより、必要となる/足りない社会制度的枠組みを明らかにしていくことができれば、と考えています。

Q5:

里山の現状は危機的状況にあるようですが、国としての明確な方針がしめされていないように思えます。人手不足もともない、今後誰がどのようにしていけば里山を再生していけるのか、おたずねします。
A:
森林の病虫被害については、法律で森林所有者が対処すると定められていますが、経済的な問題や所有者の無関心から、その義務が果たされていません。また、所有者が不明(把握困難)という場所が増えています。国では、森林被害の防除に補助(マツ枯れ、ナラ枯れ)をしていますが、補助金に対する批判が強いのが現状です。国や自治体が税金で山林の保護・管理を行うことは、国土保全に必要なことですが、国民の理解がなければ実施は困難でしょう。住民の側が、住環境の保全の延長線上に森林保護があるという認識を持つことが重要ではないかと思います。自治体によっては環境税を課しているところがありますので、それを上手に使うことも視野に入れて欲しいと思います。関西地域では居住地と里山が隣接しています。里山の恵みを受けつつ、少しずつでもその維持管理に意識を向ける方や実際に作業に関わる方が増えると、再生への転換が進むのではないかと期待します。
ただし、現状のようにボランティア的な労力だけでは、どうしても非常に狭い範囲の再生しかできません。なにかしら誘導的な施策を用いること、つまり、里山林の資源をエネルギーなどのかたちである程度まとまって利用し、経済性も持たせられるような仕組みを導入していくことも必要だと考えます。

Q6:

マツ枯れもナラ枯れも自然淘汰の範疇で、何もしないで済むなら、何もしない方がいいのではないでしょうか。「永年の過度な人為的撹乱が終わり、本来の遷移にゆだねる」と考えるのは楽観的すぎるでしょうか。
A:
里山林は人が関わりあうことで歴史的な経過を経て形成されてきた森林であり、全てではありませんが、そこには一定の安定した環境が形成されてきました。また、現在、里山林あるいは里山のある暮らしを大切にしたいという声が、社会に少なからずあります。そのような里山林が、急速に変化、消失してく現状の中で、可能な範囲で保全して行く必要があるのではないかというのが、私どもの考えです。
文化的な価値観をさておけば、「自然環境的には何もしなくても済むのではないか?」というご意見については、完全に否定することはできません。しかし、マツ枯れやナラ枯れなど、かつては予測もしなかった激変が発生しているように、今後、里山林が一層未知の段階に入っていくなかで、何が起きるのかはまだ分かりません。リスクが予測できないような変化は、可能な限り持ち込まないようにする、緩和するというのが、環境を扱う上での基本であろうと考えます。
ナラ枯れより先に激害化したマツ枯れ(マツ材線虫病)の場合も、「マツなど無くなっても困らない」という意見がありました。しかし、治山に用いる樹種としてアカマツの代替となるものがない地域や、海岸の砂防林としてクロマツをどうしても維持したい場合があります。また、マツ枯れを放置した結果、地域によってはアカマツの枯死後にまたアカマツが生え、それがまた枯れるという繰り返しが続いています。淘汰されず、強くもならず、別のタイプの森林に遷移しないということです。
ナラ枯れもマツ枯れも現実には放置されている場所が大半です。ここで、集団枯死と言う事実を「見ないふり」をしたり、「仕方がない」とするのではなく、森林が今後どのように変化していくのか、何が起こりそうであるのか、住民自身が「見ている」ことが重要であろうと考えます。

Q7:

森林環境税等により行政の関与でボランティアを支援し事業評価を行う際には、里山林のいわば「目標林型」のようなものが求められ、概して画一的価値観になりがちです。地域の財産として、地域の方々がよいと思う形で管理、利用ができれば(マツ枯れ、ナラ枯れ等のリスク管理を含めて)よいと思う一方、スタートアップで税金を投入する以上、何らかのものさしが必要、というジレンマもあります。地域の方(ボランティア、NPO等)の活動に行政が関与する場合のあるべき姿、注意点などについてお考えを聞かせていただけないでしょうか。
A:
行政の関わり方は大事なポイントですので、少し長くなりますが、お答えしたいと思います。
里山林に限らず森を作る方向性には、その地域の自然や社会の状況、投入できる資源や労力などによって様々な選択肢があるのは当然のことです。行政の役割としては、「決まった予算と事業先にありき」ではなく、森作りのための選択肢の引き出しをたくさん持っておくように日ごろから研鑽を積むことと同時に、それぞれの選択肢の得失をきちんと理解し、説明できるようにし、地域の人々とともによりよい方向性を選択して実施していけるよう、助言していくことが大事です。
活発に展開している活動があるところには、多くの場合コーディネータ的な役割を果たすキーパーソンが存在します。活動団体の方が直接担うこともありますが、行政の担当者がこうした役割を果たせる場合も少なくありません。その際には、担当者が活動の成果や楽しみを共有できることがまず大事ですし、また、上からの目線にならず、一緒に活動に汗を流し、よくわからないことを一緒に学ぶ姿勢や、地域・地元の人達の方がよく知っていること、得意なことを掘り出し、それらを謙虚に受け止め、共有することで活動のモチベーションを高めること、などが重要になってきます。
一方で、行政であることの強みもうまく発揮することが必要です。土地の所有者層と活動希望を持つ人々との間を取り持つ場合には、行政が間に入ることの信頼感が重要ですし、行政の持っている多様なチャンネルをいかして、外部(地域の外の人々や、異なる業種など)との連携をうまく取り持つことも、重要な役目です。もちろん、様々な補助金、助成金の紹介や利活用は行政が積極的に支援すべき分野でしょう。また、活動を長期的俯瞰的に見る視点を忘れず、おりにふれてチェックの機会を作ることも、担当者が心配りをすべき部分です。
このような形で行政が関わる場合には、長期的に継続する信頼関係が大切になってきます。担当者の異動に際して、行政が組織として継続的な関わりを支援できるかどうかも重要なポイントです。また、こうした長期にわたる活動の中では、成果を評価するモノサシも決して固定的なものではありません。里山に関わっている人々の目線で、生態系の持続性や地域社会の豊かさまで含めた新しいモノサシを作っていくことも、これからの行政の職務だと考えます。
注意点として、行政主導での活動立ち上げの場合、イベント先行や協議会などの組織作り先行になることが多々あります。すでに活動が広がり成熟している地域では、こうした手法で新たな展開につながるケースもありますが、無理に協議会などの器だけ先行させても、必ずしも活動がうまく展開するとは限りません。地域によっては、様々な地域活動や義務等で多くの時間を割かれて、「協議会疲れ」「ワークショップ疲れ」のような症状を起しているところも少なくありません。地域が抱える個別の課題と、外部や横の連携が必要な取り組みとを整理して、活動に本当に必要とされている内容と規模の仕掛けを用意することが、その後の自発的な活動の成熟につながります。
なお、現在の里山整備活動で問題があるのは、実施のしやすさや楽しさを優先させるあまり、目的にあった計画になっていない場合です。森林再生につながらない樹種を選択した苗木植栽のような失敗例、伐採木をそのまま放置してナラ枯れ被害を助長させた例などがあります。地域のことは地域の意向を重視して実施するという方向性は重要ですが、その場合にも、住民(活動者)が望むことをそのまま実施するのではなく、その地域の森林の成り立ちをふまえて、望ましい整備方法について専門的判断を求めることが必要です。

Q8:

市民ボランティアで、木や竹の伐採をしていますが、労力やコストの問題で運び出す事ができません。どんどん伐採だけ進んでいってその先が見えないように感じています。
A:
道のついていない場所での活動で、伐採した材を利用できるように搬出するのは確かに困難な課題です。ひとつのアプローチはそういう材でも利用したいという強い動機を持つ人や団体を仲間に巻き込むこと、もうひとつのアプローチは搬出方法を工夫することです。簡易な搬出技術としては「人工シュラ」という大きな樋のようなものもあります。また、岡山県林業試験場では折りたたみ式の簡易炭焼き機を作製し、伐採場所での竹炭生産を推進しています(販売中)。いずれにしても里山林での間伐切り捨ては、里山林の将来の更新の視点から見ても、また病虫害の視点から見ても問題がありますので、できるだけ搬出して何かの形できちんと利用することを考えてもらえればと思います。

Q9:

スギ、ヒノキ等の人工林には育林技術が確立しているが、里山の天然生林の育林技術は森林所有者、行政技術者等、携わる人達に周知されていないことから、自治体、NPO、ボランティアが対応できるように確立した技術を里山再生マニュアルのような形で普及、指導してほしい。
A:
森林総合研究所では、自治体および里山整備活動者向けに、小冊子「里山に入る前に考えること-行政ボランティア等による整備活動のために-」(PDF:2,773KB)を発行しました。印刷物の配布ご希望の場合は関西支所連絡調整室にご連絡下さい。また、pdfファイルは、当研究所関西支所ホームページからダウンロードできます。「ナラ枯れの被害をどう減らすか-里山林を守るために-」(PDF:2,999KB)のパンフレットと共にご利用下さい。また、関西支所標本展示・学習館(平日開館)にも研究資料を展示しています。出前講義や現地検討会での説明のご要望がありましたら、できるだけ対応いたしますので、ご相談下さい。

【その他】

Q1:

「里山」は森林のことをさし、農地などを含めたものは環境省用語では「里地」と使い分けているのではないでしょうか。
A:
「里山」と「里地」を厳密に区分することは困難ですが、様々な土地利用の間の関係や、人の関わりを重視する立場からは、「里山」を森林とともに農村での生活を支えてきたセットとなっている空間としてとらえることが主流の考え方になりつつあります。どちらかといえば、「里山」は傾斜地型で森林が卓越する場合、「里地」は平坦地型で農地が卓越する場合という形で使い分けができると考えます。また、こうした用法に対応して、「里山林」という呼び方で、とくに森林部分に特定することができます。

Q2:

講演パワーポイントの資料を全ていただけませんでしょうか。
A:
今般、シンポジウムの発表内容も含めた形で、関西支所での里山研究の概要をとりまとめた小冊子「里山に入る前に考えること-行政ボランティア等による整備活動のために-」(PDF:2,773KB)を発行いたしましたので、そちらをご覧いただければと思います。pdfファイルは、当研究所関西支所ホームページ「刊行物」からダウンロードできます。

 

 

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