林業試験場関西支場年報第9号

昭和42年度

まえがき

昭和22年4月林業試験場が林政統一によって機構が改革され、そのさい当支場は大阪支場として発足して満20年になります。その間、林業試験場関西支場は地域の社会経済的諸条件のもとでの諸要請に対応しつつ、試験研究の推進、研究態勢の設備を行ないつつ今日に至りました。

とりあげてきた試験研究のあとを顧みると、全国的共通課題についてのほかこの地域における重要課題を中心として、支場の単独研究、本支場システムによる研究、特別研究、林野庁ならびに大阪営林局署との関連共同研究、関西四国地区研究機関連絡協議会共同研究との関連研究など、それぞれの態勢で研究成果をあげるよう努力してきました。

これらの成果の発表は本場の研究報告ならびに同解説や業務研究資料、関係学会諸誌類に掲載して参りました。

しかしながら支場の立場から眺めてどういう研究上の要請からどのような研究内容のものがとりあげられてきたか、その目的、経過と進歩の過程を年度ごとに概観し明らかにしようとする刊行物としては、関西支場年報を毎年度発表してきました。

林木の生育の長期性にかんがみて林業試験研究はきわめて長期を必要とするものが多い。その成果が数年間に亘り早急に得にくいこともあり、一つには年度の経過のなかで地域における問題点との結びつき、諸研究相互の関連と位置づけなどを検討する必要性が支場の研究者としても必要であり、二つには堂々御支援いただいている関係の方々に、当支場の研究のあり方を理解していただく意味でも、かかる刊行物の意義が大きいと思います。

当支場発足20周年にあたり、多少これまでの研究の経過をも補足いたしました。

つねづね研究の推進にご指導ご援助を賜わっております皆さまに対しては今後ともいっそうのご鞭撻ご叱正を賜りますようこの機会にお願いする次第であります。

昭和43年7月20日

支場長江畑奈良男

経営研究室のあらまし
林業経営における伐期,伐期齢,および回転周期の意味について-林業の本質について（第10報）-
林業のもうけの見方-林業の本質について（第11報）-
民有林経営実態分析
スギ人工林の構造と成長
ヒノキ人工林の構造と成長
アカマツ天然林の構造と成長
造林研究室のあらまし
森林の更新保育に関する研究
- 竹林に関する研究
- 外国樹種の導入に関する研究
- アカマツの保育形式比較試験
- 寡雨地帯の育林技術に関する研究
林木の材質育種に関する研究
ノコ屑の堆肥化に関する研究
林地除草剤に関する研究
寒害防止に関する研究
土壌研究室のあらまし
苗畑土壌肥料に関する研究
- アカマツ・クロマツ苗木の成長および栄養に及ぼす床替の影響（3完了）
- アカマツおよびクロマツの苗木および幼齢木の形質,成長および栄養との関係（4完了）
林地肥培に関する研究
- クロマツ林地肥培試験（4）
- 西条営林署管内のクロマツ幼齢林地肥培試験（4）
- 鳥取営林署管内スギ成木施肥（間伐前）試験（5）
- 鳥取営林署管内スギ成木施肥（主伐前）試験（4）
- 山崎営林署管内スギ成木施肥（間伐前）試験（3）
林地土壌生産力に関する研究
- 林地土壌生産力に関する研究（岡山県新見地区）-（完了）-
近畿・中国地方の森林土壌に関する研究
- 福山営林署管内のヒノキ林の成長,土壌条件および針葉の構成との関係について（続）-（完了）-
土地分類基本調査
- 土地分類基本調査（国土調査）
防災研究室のあらまし
山地荒廃防止に関する研究（I）
瀬戸内海地方はげ山の経済的治山工法に関する研究（II）
水源の理水に関する研究（I）
樹病研究室のあらまし
土壌菌の生理・生態
苗畑における土壌線虫の実態調査
昆虫研究室のあらまし
松の穿孔虫類に関する研究
特定地における野鼠発生予察
岡山試験地
寡雨地帯の育林技術の確立に関する研究
苗畑と実験林
昭和42年度研究業績一覧表
鑑定診断ならびに防除対策研究指導
関西支場の組織・沿革・土地と主な施設・情報