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森林総合研究所関西支所
昨年10月1日に実施された組織の再編整備を契機に、あらためて関西地域の森林・林業の現状と未来像を考えて、研究基本計画の見直しを行い、新しい研究問題、大・中・小課題の編成を行った。従来4つ設けていた研究問題を2つに絞り、環境資源としての森林の育成管理と林業生産の場としての森林の育成管理に2大別し、各々について各部、各研究室、各研究員相互の密接な連携で研究が推進できるよう各課題を設定した。これによって関西地域における都市近郊林、風致林の役割の重要さを考え、時代のニーズに応え、21世紀にむけてのビジョンをもって、新設の風致林管理研究室はもとより全支所を挙げてその育成・管理技術の高度化に取り組む体制が整った。また、林業生産の社会経済条件が依然厳しい状態にある中で活路を見いだすために、複層林施業、広葉樹施業、長伐期施業など多様な森林の施業技術について、地域に密着した研究を進めていくための素地ができた。更に、本・支所間の分担研究課題の整理を行い、地域独自のニーズに直結する研究に力を注ぐという方向を鮮明にした。
今年度の年報の冒頭に、新たに新設された2研究問題、5大課題、15中課題の構成を示す「研究課題一覧表」を掲げた。小課題番号が欠番になっているのは、研究計画期間が中期、後期に予定されているもので、この一覧表には掲載しなかった。また、研究問題XVI、大課題1の中課題(1)-(3)については昭和63年度に終了した特別研究「松跡ヒノキ」で対応したため、昭和63年度までは小課題が設定されていない。一覧表には広領域・特定問題研究課題として特別研究「松跡ヒノキ」および本・支所間の分担研究の課題も列記した。「試験研究の概要」は、この課題一覧表の順に従って記述されている。これらの試験研究の結果の主なもの32項目について、「主要な研究成果」として収録した。また、「研究資料」の中に、支所の特別検討課題としてとりあげた「風致林及び都市近郊林に関する研究の今後の進め方」についての討議の経過と結果を記録し、長期派遣専門家として海外林業研究協力プロジェクトに参加した成果の報告も掲載した。
昭和63年度は、新たに設定された研究基本計画、運営要綱にもとづく研究推進体制に移行する転換期であった。今後この新しい研究推進体制のもと、地域に開かれた研究所として、従来にもまして地域の研究開発関係機関と密接に連携協力しながら研究を進めていきたいと考えている。今後とも当支所の研究推進にご支援、ご協力を賜るようお願い申し上げる。
平成元年10月
森林総合研究所関西支所長有光一登
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第30号(昭和63年度)(PDF:4、448KB)
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