森林総合研究所関西支所年報第45号
平成15年度
大台ヶ原に生息するニホンジカ(奈良県上北山村)
まえがき
森林総合研究所は独立行政法人となって、平成15年度で3年を経過しました。独立行政法人通則法で定められた法人の中期目標の期間は平成13~17年度の5ヶ年なので、既に期間の半ば以上が過ぎたことになります。独立行政法人評価委員会林野分科会による平成15年事業年度の評価結果は、中期計画に対して概ね順調に計画を達成しているとの評価をいただきました。また総括的な意見として「組織としてのダイナミックさが感じられる一年であり、引き続き社会や現場のニーズを的確に捉えるよう努力を注ぎ、研究活動に取り組むことを期待する」旨のコメントもいただいています。関西支所としても中期計画に沿って、研究や業務運営に精力的に取り組んだ一年でした。研究業務に関しては5ヶ年計画の中間見直しを行い、計画の達成状況とアウトプット、アウトカムを明示できる工夫をしました。その手始めとして、岡山市竜の口試験地の長期観測結果に関して近畿中国森林管理局と共同で普及版小冊子「森林と水との関わりを調べる」を作成し、広く関係機関等に配布しました。この小冊子は、日刊木材新聞に記事として紹介されるなど大変好評を得て意を強くしているところです。この他、平成15年度研究成果発表会では、会場の収容人数一杯の305名もの一般来客があり、改めて研究成果広報の重要性を痛感しているところです。
この年報も平成15年度広報事業の一環として、当支所の試験研究の概要、主要な研究成果、およびその他業務全般に関してとりまとめたものです。これらの資料が皆様の業務にいささかでもお役に立ちますことを願うとともに、支所の試験研究業務全般にわたって忌憚のないご意見、ご批判等をお聞かせいただけたら幸甚に思います。
森林総合研究所関西支所長 河室公康
目次
- 森林総合研究所全研究課題
- 森林総合研究所関西支所関係抜粋
- 主要樹木集団の遺伝的多様性評価手法の開発および繁殖動態の解析
- 森林施業が森林植物の多様性と動態に及ぼす影響の解明
- 大台ヶ原森林生態系の修復のための生物間相互作用モデルの高度化
- 希少雑種の遺伝的多様性と繁殖実態の解明
- 斜面系列における養分傾度と樹木の養分吸収・利用様式の解明
- 水流出のモニタリングと全国森林流域の類型化
- 森林流域における窒素等の動態と収支の解明
- 湿雪なだれの危険度評価手法の開発
- 被害拡大危惧病虫害の実態解明と被害対策技術の開発
- 集団的萎凋病の対策技術の開発
- マツノマダラカミキリ生存率制御技術の開発
- マツ抵抗性強化技術の開発
- スギ・ヒノキ等病害の病原体と被害発生機構の解明
- サル・クマ等の行動・生態と被害実態の解明
- 森林火災の発生機構と防火帯機能の解明
- 国際的基準に基づいた生物多様性及び森林の健全性評価手法の開発
- 酸性雨等の森林生態系への影響解析
- 多様な森林構造におけるCO2固定量の定量化
- 環境変動が海洋性気候下の寒温帯植生に与える影響の評価
- 各種林型誘導のための林冠制御による成長予測技術の開発
- 都市近郊・里山林の生物多様性評価のための生物インペントリーの作成
- 人と環境の相互作用としてとらえた里山ランドスケープ形成システムの解明
- 都市近郊・里山林における環境特性の解明
- 都市近郊・里山林の管理・利用実態の解明
- スギ花粉暴露回避に関する研究
- 保健休養機能の高度発揮のための森林景観計画指針の策定
- 持続的な森林管理・経営の担い手育成及び施業集約・集団化条件の解明
- スギ・ヒノキ人工林化が林床植物ミヤコアオイの種子生産に及ぼす影響
- 地下部の資源をめぐるミズメ実生間の競争試験
- 滋賀県志賀町八屋戸の里山林土壌
- 山城試験地における夜間葉群呼吸量の季節変動特性
- 特異的PCRプライマーによるスギ・ヒノキ暗色枝枯病菌の検出
- 針葉樹人工林の健全性低下による集団枯損
- サビマダラオオホソカタムシのマツ枯損被害地における放飼試験(2回目)
- 2000年国勢調査から見る林業作業者数の変化
- 滝谷スギ収穫試験地の林分構造と成長
- 新重山ヒノキ収穫試験地の林分構造と成長
- シカを捕るだけでは森林は蘇らない
- 森林更新をめぐるシカとネズミとササの複雑な関係
- シカはササを食べて森林土壌を変える
- シカがササを食べるとむしの数や多様性はどう変化するだろうか
- 平成15年度試験研究発表題名一覧
- 沿革
- 土地及び施設
- 組織
- 人の動き
- 会議等の開催
- 依頼出張
- 職員研修
- 受託研究員受入
- 海外派遣・出張
- 見学者
- 試験地一覧表
- 気象年報