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森林総合研究所関西支所年報第58号

平成29年版

まえがき

平成28年度は、国立研究開発法人森林総合研究所の第4期中長期目標の開始年度であった。第4期中長期計画では、以下の4つの重点課題と、その下に9つの戦略課題を設定し、森林・林業分野が直面する課題の解決に当たる。

ア.森林の多面的機能の高度発揮に向けた森林管理技術の開発
イ.国産材の安定供給に向けた持続的林業システムの開発
ウ.木材及び木質資源の利用技術の開発
エ.森林生物の利用技術の高度化と林木育種による多様な品種開発及び育種基盤技術の強化
この中で関西支所は里山の公益的機能及び生産機能の自然的・社会的評価に基づく保全・管理手法の開発を目指し、ア、イおよびエの研究課題を担当している。

平成28年度の関西支所の主要成果としては、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「安全な路網計画のための崩壊危険地ピンポイント抽出技術(26~28)」、一般交付金による「スギノアカネトラカミキリおよびトビクサレ被害防除に向けた試み」が掲げられる。また、交付金プロジェクト「広葉樹も多い中山間地で未利用資源をむだなく循環利用する方策の提案(28~30)」を獲得・開始し、関西支所の特色を表す課題となっている。継続課題としては、低コスト林業を目指す農林水産技術会議地域戦略プロジェクト「優良苗の安定供給と下刈り省力化による一貫作業システム体系の開発(28~30)」、放置・拡大竹林を駆除する技術体系の確立を目指す農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「侵略的拡大竹林の効率的駆除法と植生誘導技術の開発(27~29)」等について研究を進めた。

第4期中長期目標の中では、林業の成長産業化への技術的支援、研究開発成果の最大化、研究成果の「橋渡し」機能が強調された。つまり、研究成果を得るだけではなく、現場に届けることも求められている。また、地域連携をさらに強力に進め、地域におけるハブとしての役割が求められている。これら橋渡し、地域連携に関しては、以下のように実施した。

近畿中国森林管理局との「近畿及び中国地域の森林・林業に関する研究と技術開発等の円滑な促進に向けた連携と協力に関する協定」に基づき、コンテナ苗の普及に向けた現地検討会(林業の低コスト化に向けた取組)(28年10月13~14日)を岡山県新見市において共催し、各府県、森林組合等から多くの参加者を得た。国立大学法人三重大学生物資源学研究科との連携大学院では支所の研究職員が連携教員として講義・実習に携わった。また、近畿中国森林管理局の「水都おおさか森林の市(10月2日)」、近隣の中学生を対象とした「職場体験」や「チャレンジ体験学習」、森の展示館を活用した「森林教室」などを実施した。さらに、公開講演会「森林の時間を科学する~森林の長期観測で得られた成果~(10月31日)」を龍谷大学響都ホール校友会館において開催し、約160名の聴衆を集めた

今後も関西支所では近畿中国地方における森林・林業に関するさまざまな問題の解決に向け、研究技術開発に取り組むとともに、研究発表や技術指導、広報などを通じ、橋渡し・地域連携に精力的に取り組んでまいりますので、一層のご支援とご協力をお願いいたします。

 

平成29年12月

森林総合研究所関西支所長松本光朗

目次

1.平成28年度研究課題一覧(PDF:230KB)

  1. 森林総合研究所関西支所関係抜粋

2.関西支所における研究課題の取り組み(PDF:151KB)

3.平成28年度関西支所の研究概要(PDF:674KB)

  1. 森林の災害防止機能高度利用技術の開発
  2. 減災の観点から樹木根系の広がりを非破壊的に評価する方法の確立
  3. 山地災害リスクを低減する技術の開発
  4. 多様な管理手法下にある森林の水保全機能評価技術の開発
  5. 森林流域からの水資源供給量に関わる気候変動の影響評価
  6. 御嶽山2014年噴火にともなう火山噴出物の渓流水水質に対する影響評価
  7. 森林における放射性セシウム動態の解明
  8. 森林における物質・エネルギーの蓄積・輸送パラメタリゼーションの高度化と精緻化
  9. センサーネットワーク化と自動解析化による陸域生態系の炭素循環変動把握の精緻化に関する研究
  10. 森林土壌の炭素蓄積量報告のための情報整備
  11. 頻発する大規模山火事に駆動される物質循環プロセスの解明:植生-土壌系の再精査
  12. 13Cラベリングとイオン顕微鏡を組み合わせた森林樹木への炭素固定プロセスの解明
  13. 緩和策と適応策に資する森林生態系機能とサービスの評価
  14. 適応策評価のための森林生態系適域推計モデル開発
  15. 森林と農地間の土地利用変化に伴う土壌炭素変動量評価とGHGインベントリーへの適用研究
  16. アマゾン熱帯林における低インパクト型択伐施業の可能性:樹種の成長特性に基づく検証
  17. 生態系サービスの定量的評価技術の開発
  18. 奄美・琉球における森林の生物多様性保全と林業活動の調和に関する研究(施業・林齢)
  19. 海の島と陸の島に棲む希少鳥類・コマドリの地域的減少が遺伝的多様性に及ぼす影響評価
  20. 逆境を糧にする外来樹木の「切ったら増える」生理的プロセスの解明
  21. 渓流魚の餌となる水生昆虫への放射能汚染による影響の実態解明
  22. 環境に配慮した樹木病害制御技術の高度化
  23. 森林・林業害虫管理技術の高度化
  24. 野生動物管理技術の高度化
  25. 開放系森林生態に導入した菌類微生物の動態解明と環境への影響評価
  26. 農山村地域の空洞化回避を主目的に据えた鳥獣害の動向予測と実効的管理体制の提言
  27. サクラ類てんぐ巣病菌は本当にサクラ樹体内で植物ホルモンを生産しているのか?
  28. 薬剤使用の制約に対応する松くい虫対策技術の刷新
  29. イノシシ、ニホンジカ等の適正かつ効率的な捕獲個体の処理及び完全活用システムの開発
  30. ICTを用いた総合的技術による、農と林が連動した持続的獣害対策体系の確立
  31. 野生鳥獣拡大に係る気候変動等の影響評価
  32. ニホンジカ生息地におけるスギ・ヒノキ再造林手法の開発
  33. ヒバ漏脂病の抵抗性検定法と施業的回避法の確立
  34. 多様な森林の育成と修復・回復技術の開発
  35. 地域特性に応じた天然林の更新管理技術の開発
  36. 侵略的拡大竹林の効率的駆除法と植生誘導技術の開発
  37. 土壌環境に触発された細根動態が駆動する土壌酸性化のメカニズムの実証
  38. 優良苗の安定供給と下刈り省力化による一貫作業システム体系の開発
  39. 広葉樹も多い中山間地で未利用資源をむだなく循環利用する方策の提案
  40. コンテナ苗の乾燥耐性を向上させる育苗技術の開発
  41. 森林情報の計測評価技術と森林空間の持続的利用手法の高度化
  42. 安全な路網計画のための崩壊危険地ピンポイント抽出技術
  43. 低コストな森林情報把握技術の開発
  44. 歩いて調べる沖縄「やんばる」における近代の森林利用の展開過程
  45. 本州以南におけるカラマツの安定供給と持続的利用方策の提案
  46. 効率的な木質バイオマスエネルギー利用システムの提示
  47. 木質バイオマス発電事業の安定的な拡大手法の開発
  48. 高級菌根性きのこ栽培技術の開発
  49. 森林水文モニタリング
  50. 地上部-地下部生態系間の連動性に着目した樹木根圏炭素動態の解明
  51. 森林土壌圏における微生物動態に立脚した多様な有機物の分解呼吸プロセスの解明

4.研究資料(PDF:496KB)

  1. 基盤事業:森林水文モニタリング-竜ノ口山森林理水試験地-
  2. 基盤事業:森林流域の水質モニタリング
  3. 滝谷スギ人工林収穫試験地(兵庫県宍粟市波賀町)定期調査報告-間伐方法の違いによる成長の違いについて-

5.試験研究発表題名(PDF:477KB)

  1. 平成28年度試験研究発表題名一覧

6.組織・情報・その他(PDF:433KB)

  1. 沿革
  2. 土地及び施設
  3. 組織
  4. 受託出張
  5. 職員研修
  6. 受託研修生受入
  7. 特別研究員
  8. 海外派遣・出張
  9. 業務遂行に必要な免許の取得・技能講習等の受講
  10. 森の展示館(標本展示・学習館)
  11. 会議
  12. 諸行事
  13. 試験地一覧表

一括版のpdfファイルはこちらです。年報第58号(平成29年版)(PDF:2,649KB)

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お問い合わせ

所属課室:関西支所地域連携推進室 

〒612-0855 京都府京都市伏見区桃山町永井久太郎68

電話番号:075-611-1201

FAX番号:075-611-1207

Email:fsm-ren@ffpri.affrc.go.jp