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平成30年度は、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の第4期中長期目標の3年目に相当し、以下の4つの重点課題を設定し、森林・林業分野が直面する課題の解決に当たっている。
ア.森林の多面的機能の高度発揮に向けた森林管理技術の開発
イ.国産材の安定供給に向けた持続的林業システムの開発
ウ.木材及び木質資源の利用技術の開発
エ.森林生物の利用技術の高度化と林木育種による多様な品種開発及び育種基盤技術の強化
この中で関西支所では、近畿・中国地域の現状に対応するア及びイを中心に研究を行っている。
平成30年度の関西支所では、60個の研究課題(内、基盤事業3課題)を実施した。これらの課題を予算別に分類すると外部資金が約5割(29課題)であり、残りは交付金である。外部資金の中では、科学研究費助成事業が13課題と多く、そのほか農林水産省、環境省、民間財団の研究助成金などを獲得している。主な研究課題としては、バラ科樹木への大きな影響が懸念される外来害虫の防除法を開発する課題(アウbPF60)、林業の低コスト化を図るための新技術の開発に係る課題(イアaPF15)並びに里山・中山間地域において広葉樹の有効利用を図るための技術を提案する課題(イアaPS2)などがある。
一方、研究課題の推進に加えて産学官民並びに地域との連携への取り組みを積極的に実施した。主な取り組みとしては、近畿中国森林管理局との「近畿及び中国地域の森林・林業に関する研究と技術開発等の円滑な促進に向けた連携と協力に関する協定」に基づいた(1)「林業の低コスト化に向けた現地検討会」(H30年10月11~12日)を岡山県新見市において共催し、各府県、森林組合等から多くの参加者を得た。
また、(2)「シカ被害対策技術交流会」(H31年2月20日)を近畿中国森林管理局と共催し、関連団体、森林組合、自治体、研究機関などから多くの参加者を得た。さらに、(3)関西支所公開講演会「広葉樹林はお宝になるか?~有効利用の可能性を探る~」(H30年10月19日)を龍谷大学響都ホール校友会館において開催し、約260名の聴衆を集めた。その他(4)林木育種センター関西育種場並びに森林整備センター中国四国整備局との共催で「森林とのふれあい2018」(H30年8月5日)を関西育種場にて開催し、関連団体、近隣住民等から多数の参加者を得た。近隣の中学生を対象とした「職場体験」や「チャレンジ体験学習」、森の展示館を活用した「森林教室」などを実施した他、三重大学、名古屋大学、鹿児島大学、大阪府立大学、京都大学等から多くの研修生を受け入れた。
今後も関西支所では近畿中国地方における森林・林業に関する様々な問題の解決に向け、研究技術開発に取り組むとともに、研究発表や技術指導、広報などを通じ、技術の橋渡しや地域連携に精力的に取り組んで参りますので、一層のご支援とご協力をお願いいたします。
令和元年12月
森林総合研究所関西支所長大平辰朗
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