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更新日:2023年4月12日

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林木遺伝子銀行110番―「橋本氏記念松樹」と「帝釈始終のコナラ」の里帰り―

林木育種センターでは、貴重な遺伝資源の保存を図るとともに、品種改良等に活用することを目的とした林木ジーンバンク事業を実施しています。その一環として、自然災害による被害や加齢等で樹勢が衰えた天然記念物や巨樹・名木等を対象に、これらと同じ遺伝子を持つ後継樹を増殖し、現地に里帰りさせる取組である「林木遺伝子銀行110番」を平成15年度から行っています。令和4年度末時点で全国では248件、関西育種場では109件の後継樹の里帰りを実施してきています。今回は令和5年3月に里帰りした「橋本氏記念松樹(まつじゅ)」、「帝釈始終(たいしゃくししゅう)のコナラ」について紹介します。

「橋本氏記念松樹」は、高知県吾川郡いの町に位置する創立以来140年以上の歴史がある伊野小学校の校庭に、昭和10年に記念樹として植栽された樹高5m、幹の周囲長120cmのアカマツです。このアカマツは長年にわたり小学校のシンボル的な存在になっていました。樹勢が衰えてきていたため、その様子を知ったいの町から当育種場に増殖依頼がありました。その後当育種場でつぎ木によるクローン増殖を行い、つぎ木後、養苗し大きく育った後継樹3本が3月7日に里帰りとなりました。里帰り式では後継樹それぞれに名前が付けられ、元気いっぱいの小学生たちにより記念松樹のそばに植栽されました。

広島県庄原市に所在する「帝釈始終のコナラ」は、樹高約30m、幹の周囲長が約7.4mと国内最大級の大木で、広島県指定天然記念物となっています。しかし近年、周囲で樹木の伝染病である「ナラ枯れ」が発生し、被害拡大による枯死が危ぶまれていました。そのため、庄原市教育委員会から増殖依頼があり、つぎ木によるクローン増殖を行いました。つぎ木後、養苗し大きく育った後継樹3本が3月15日に里帰りとなりました。里帰り式の様子はテレビ等のメディアでも報道され、地元の方の「帝釈始終のコナラ」に対する強い愛情を感じました。

今後もこの取組を継続し、地域の方々に守られてきた貴重な樹木の遺伝資源を後世に残すことに貢献していきたいと考えています。

(関西育種場)

 

「橋本氏記念松樹」里帰り式で小学生が後継樹を記念植樹 「帝釈始終のコナラ」後継樹を地元の自治振興区会長に手渡し
「橋本氏記念松樹」里帰り式で小学生が後継樹を記念植樹 「帝釈始終のコナラ」後継樹を地元の自治振興区会長に手渡し

 

林木遺伝子銀行110番―「橋本氏記念松樹」と「帝釈始終のコナラ」の里帰り―(PDF:459KB)

 

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