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更新日:2023年5月31日

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フランス人博士研究員が関西育種場へ視察に訪れました

令和5年5月31日

林木育種センター関西育種場では、近年皆様の生活に大きな影響を及ぼしている花粉症問題の解決の糸口となるよう、花粉の少ないスギ・ヒノキや、材質等に優れ、さらに花粉が普通のスギ・ヒノキよりも少ない特定母樹などの品種開発を行っています。また、天然記念物や巨樹・名木などの貴重な遺伝資源を後世に残していくことを目的とした林木ジーンバンク事業にも取り組んでいます。このような中で、当場の仕事に興味を持たれた方々の視察を受け入れ、当場の施設などを見ていただきながら取組内容を説明しています。

4月19日に、フィッセン公益財団法人・大阪大学人類学研究室博士研究員ルトゥゼイ・エミリー氏が、関西育種場へ視察に訪れました。フランス人であるエミリーさんは、大阪大学で社会文化人類学、自然環境人類学・技術人類学を専攻し、人間と自然環境や生き物との関わり、植物の多様性保全などを研究しています。その中で樹木の管理や保全、樹木の増殖方法などを研究対象として、育種場で実施しているつぎ木やさし木の実際や「林木遺伝子銀行110番」の取組に強い関心を持たれていました。

今回の育種場来訪に際して、職員が普段交流する機会が少ない分野の外国人研究者と交流する貴重な機会であったため、エミリーさんにご本人の研究内容を紹介して頂くとともに、職員との意見交換を行う機会を設けました。参加した職員は、エミリーさんの話に熱心に傾聴し、生物多様性の維持方法などについて活発な意見交換を行いました。

 

研究紹介の様子 エアざし試験の説明
研究紹介の様子 エアざし試験の説明

 

その後、職員が場内の施設などを案内しました。2023年3月に完成した増殖用養苗温室では、スギやヒノキの、用土を用いないさし木手法である「エアざし試験」について説明しました。

次に、次世代品種の開発のために実施している、人工交配手法について説明しました。先方からは、外来花粉の影響を受けないよう袋かけして目的の花粉と交配する手法に対し、どのように花粉を袋内に注入し雌花と交配させるのかなどについて質問がありました。

さらに、苗畑では、林木ジーンバンク事業で収集した様々な樹種の増殖について説明しました。エミリーさん自身も日本でウメとモモのつぎ木増殖に取り組んでいることから、つぎ木の方法やその後の管理などについて積極的に質問がありました。

 

人工交配手法の説明 つぎ木増殖・管理の説明
人工交配手法の説明 つぎ木増殖・管理の説明

 

エミリーさんは、日本の映画を見たことがきっかけで日本に興味を持ち、来日したようです。「林木遺伝子銀行110番」の里帰りイベントには是非参加したいとの希望を語っていました。このような取組を通じて、育種場の業務への理解を深めていただくとともに、より日本文化と触れ合う手助けになれば、我々もうれしい限りです。

(関西育種場)

フランス人博士研究員が関西育種場へ視察に訪れました(PDF:500KB)

 

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