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林木遺伝資源は、科学技術の発展に伴い、ますます重要性が増大し、その利用が一層拡大するものと考えられています。一方、環境の変化や天然林の減少などにより、林木遺伝資源が量的、質的に減少傾向にあります。そのため、早急に林木遺伝資源の利用上の重要度や保存の必要性、優先度を勘案しつつ、多様な遺伝資源を探索・収集し、保存して後世へ継承するとともに、その利用をしやすくするために、特性評価を進めています。また、林木遺伝資源の保存や特性評価を進めるために必要な技術開発も進めており、さらに、試験研究用に林木遺伝資源の配布も行っています。
森林総合研究所林木育種センター遺伝資源部では、林木遺伝資源の探索・収集、増殖・保存、特性評価、情報管理および林木遺伝資源の配布を、全国の育種場(北海道育種場、東北育種場、関西育種場、九州育種場)と連携して行っています。
森林には多くの種、すなわち「種の多様性」が存在し、また、一つの種の中にも様々な性質の個体、すなわち「種内の遺伝的多様性」が存在しています。地質的な年代を経て進化してきたこれら多様な資源「遺伝資源」は、科学技術の進歩に伴い、その利用がますます拡大するものと思われます。このことから、後世へ多様な遺伝資源を継承し、様々な形での利用が期待されています。
林木遺伝資源の探索・収集は、その利用上の重要性、保存の優先度を勘案しつつ、優良品種の開発に資する利用価値の高い育種素材、絶滅に瀕している種、枯損の危機に瀕している巨樹・名木などを重点に推進しています。
また、林木遺伝資源の保存は、種の多様性や種内の遺伝的多様性の確保などの保存目的や現地の遺伝資源の更新などの状況、さらには、遺伝資源の利用の方法などの観点から様々な方法や形態により進めています。
林木遺伝資源の特性評価は、保存された個体、種子、花粉及び林分について実施しています。生息域外保存している個体については、⑴幹・葉・球果などの形や色、⑵花粉・種子の着生量、発根性、気象害・病虫害への抵抗性、⑶成長、材質などのほか、DNA分析などの手法を取り入れた評価を進めています。また、生息域内保存している林分については、林分の地理的な変異の評価や、林分を構成する樹種や個体間の血縁関係などの調査を進めています。
特性評価情報や種子・花粉の保存管理情報、生息域内保存している林分の情報等をインターネットなどを通じて広く内外に情報を提供し、林木遺伝資源が有効に利用できるようにしています。
保有している林木遺伝資源は、試験研究用として、申請にもとづき配布を行っています。配布は種子、花粉、穂木あるいは苗木で行っています。配布する遺伝資源については、その来歴情報、特性評価情報なども併せて提供しています。なお、配布申請書や配布規程などについては、インターネットを通じて閲覧やダウンロードすることが可能です。
林木遺伝資源の配布予約制度 -研究材料の林木遺伝資源を注文に応じて取りそろえ提供する取組-
林木遺伝資源の探索・収集、増殖・保存、特性評価などを行うために必要な技術の開発に取り組んでいます。
H15~H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | 計 | |
受入れ件数 | 242 | 15 | 15 | 8 | 9 | 17 | 14 | 320 |
里帰り件数 | 167 | 15 | 13 | 15 | 11 | 7 | 13 | 241 |
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