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更新日:2023年1月16日

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第40回ダイバーシティ推進セミナー開催報告

第40回ダイバーシティ推進セミナー「性の多様性とジェンダー統計」を開催しました

菅野先生

開催報告

第40回を迎えたダイバーシティ推進セミナーが2022年12月20日に開催されました。講師は森林研究・整備機構ダイバーシティ推進本部のアドバイザーを務めて頂いている埼玉大学ダイバーシティ推進センター准教授の菅野摂子先生で、「性の多様性とジェンダー統計」と題したご講演を頂きました。簡単に開催報告いたします。

ご講演はジェンダーの概念から始まりました。かつて男女だけであった性別欄は、今では“その他”や“わからない”といった回答も選択できるようになりました。これは、性というのが生得的なものではなく社会的なものとして理解されるようになってきたことが背景にあるそうです。現在ではさらに議論が深まり、(1)身体:外性器等(sex)、(2)文化:性別文化(gender)、(3)指向:性的思考(sexuality)、(4)心理:性自認(sexual identity)の4要素が性現象の見方とされてきています。この(1)~(4)の性現象が全て同性に向く場合、同性愛になります。古くギリシャ・ローマ時代は少年愛として許容されてきた同性愛ですが、中世以降のキリスト教の普及に伴い罪悪視されるようになり、近代では先天的な病気として治療の対象になるなど蔑視されやすい環境にありました。しかし、現在では疾病分類からも外れ、LGBTQA(+)として権利を獲得すべきという理解に至っています。しかし、G7のうち法的に同性婚を認めていないのは日本だけという現状をみると、多様性への理解という点で日本はまだまだ発展途上なのかもしれません。

講演はジェンダー統計へと続きました。ジェンダー統計とは「社会的・文化的に形成された男女の生活や意識における偏り、格差、差別を明らかにする統計」ということで、性的な差別を明確に把握するためのものです。国内では、平成28年から10年間の時限立法である“女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)”でジェンダー統計に基づいた情報公開が求められています。このような国内の取り組みが進められる一方で、世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数2022」によると、教育や健康に関してはトップクラスである日本も、経済と政治の分野では低い順位にあり、総合スコアは先進国の中で最低レベルということでした。さて、ジェンダー統計は性別欄を設けることで男女間の格差などを比較検討していますが、多様な性という視点に立ち性別の選択肢が増すとデータの取得は難しくなります。これに関して、令和4年に男女共同参画会議の下で性別欄について議論が重ねられたところ、国内の男女格差が大きい状況を踏まえひとまず基幹統計については男女別でデータ収集することになりました。一方、統計調査の趣旨に応じて性別欄の要否を判断するためのフローチャートが内閣府により作成されているそうです。ジェンダー統計における性別欄の取り扱いに関して海外の対応は、出生児性別と性自認、そして性的指向に関する項目まで設けている国もあるそうです。いずれの統計調査においても、性別に関する設問においては回答者の立場に立った工夫を凝らすことが、双方の信頼関係を築くうえ重要ということでした。ご講演は、ジェンダー統計が様々な分野で求められてきており、データマイニングなどの手法も取り入れることで益々充実したものになりつつあるというお話で締めくくられました。

菅野先生にはご講演後にダイバーシティ推進室までお越し頂き、ダイバーシティ推進委員会委員長である森谷理事を交えての懇話会にご参加頂きました。菅野先生には、私たちのダイバーシティ推進に関わる取り組みや沢山の疑問に対し、一つ一つ丁寧にアドバイスを頂く時間となりました。その際にご紹介頂いた事例のなかに、今や進歩的な取り組みとなっている大手企業でも、一歩進んで二歩下がるような失敗も積み重ねてきたというものがありました。私たちの職場環境にも、ジェンダー・ギャップ、ワークライフバランス、メンタルヘルス、ハラスメントなど考えるべき課題が多くあります。ダイバーシティ推進の取り組みは一足飛びに解決できるものではありません。今回のセミナーで学んだ性の多様性やジェンダー統計の在り方も考えつつ、失敗も経験にしながら試行錯誤で進めていければと思います。

木材改質研究領域 木材保存研究室(ダイバーシティ推進室併任) 神原 広平:記

当日の様子

第40回セミナー会場の様子 森谷理事開会挨拶 セミナールームの様子
第40回セミナーの様子 森谷理事開会あいさつ セミナールームでのパブリックブーイング
小林部長閉会挨拶 浅野理事長のお話 懇話会の様子_2
小林企画部長閉会挨拶 理事長のお話

推進室にて懇話会の様子

 

 

 

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