日本森林学会賞（韓 慶民）

北海道支所 CO₂収支チーム長

韓 慶民

Leaf traits, shoot growth and seed production in mature Fagus sylvatica trees after 8 years of CO₂ enrichment （高CO₂付加後のヨーロッパブナ成木の葉の特性、シュート成長及び種子生産）

バーゼル大学との共同研究で、繁殖年齢に達した成木を対象に野外での高CO₂付加実験を推進した。高木性3樹種を対象に樹体内炭素の安定同位体比の変化を調べたところ、種子生産の炭素源が貯蔵炭素ではなく、その年の光合成産物であることを初めて実験的に証明した。また、CO₂濃度の上昇が樹木の繁殖と栄養成長への資源配分に及ぼす影響を明らかにした。一連の研究成果は、樹木の結実豊凶メカニズムの解明に扉を開くもので、CO₂濃度の上昇が樹木の成長や森林の発達過程に及ぼす影響の解明に新しい知見をもたらした点で、その学術的価値は非常に高いと評価された。