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1. 受賞名 | 日本森林学会誌論文賞(受賞日:2014年3月28日) |
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2. 受賞者の氏名、所属 |
森林総合研究所 森林遺伝研究領域 木村 恵 長野市立博物館分館戸隠地質化石博物館 中村 千賀 戸隠奥社の杜と杉並木を守る会 林部 直樹 長野県 小山 泰弘 森林総合研究所 森林遺伝研究領域 津村 義彦 |
3.受賞理由 |
以下の論文が、林分構造の調査とDNAマーカーを用いた遺伝解析の結果から、文献情報だけではフォローしきれない社寺林の成立過程を推察し、今後の保護・管理指針確立のための有用な情報を提供している点が評価された。 受賞論文:戸隠神社奥社社叢林に生育するスギの遺伝的多様性と遺伝的特性 (日本森林学会誌95(3): 173-181. 2013) |
4.受賞の簡単な紹介 |
長野県戸隠神社奥社参道のスギ並木を対象に林分構造と遺伝的多様性・特性を調べた。その結果、二山型を示す直径階分布から多くの個体は限られた時期の植林によって成立しており、現在の樹高成長量は低く、今後は補植が必要になると考えられた。さらに周囲の社叢林のスギ、在来挿し木品種クマスギを加えた解析では血縁関係(親子、兄弟)が検出された。天然林との特異な遺伝的関係も検出され、限られた母樹からの苗木による創始者効果の可能性が示された。現在の遺伝的多様性・特性を維持するには、挿し木や血縁関係にある幹の重複を避けて母樹を選定し、苗木を生産することが有効である。また信仰的な理由で挿し木されたと考えられる個体もみられており、戸隠神社の歴史を反映するこれらの遺伝子型の保存も重要であると考えられた。 |
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