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森林総合研究所では、平成28年11月1日に、以下のとおり平成28年度理事長表彰を行いました。
業績名 |
竜巻等突風による樹木の被害評価基準の確立と日本版改良藤田スケール策定への貢献 |
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受賞者 |
鈴木 覚(森林防災研究領域 気象害・防災林研究室長) |
受賞要旨 |
竜巻等の突風は既存の気象観測網による測定が難しいため、家屋等の被害状況から強さを評定する。受賞者は、森林や公園樹を対象に幹の直径や樹冠の大きさ等を調べ、被害形態(幹折れ、根返り、枝折れ)と風速の対応関係を明らかにした。 この成果は、平成27年12月に気象庁が策定した「日本版改良藤田スケール」に採用された。学術的な意義とともに、社会的ニーズの高い分野への貢献として特筆すべき業績である。 |
業績名 |
木質バイオマス発電の採算性評価ツールの開発 |
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受賞者 |
柳田 高志(木材加工・特性研究領域 主任研究員) 久保山 裕史(林業経営・政策研究領域 林業システム研究室長) |
受賞要旨 |
受賞者は、簡単なデータ入力で精度の高いコスト分析や採算性に関する情報が得られ、汎用性に優れた木質バイオマス発電所の経済性評価ツールを開発した。本ツールは無償で配布され、現在まで800以上の機関で活用されており、各機関から本ツールの高い有用性が賞賛されている。 また、木質バイオマス発電の設置及び運用において有用なツールを提供することにより未利用木質バイオマスの有効利用の促進に貢献し、森林総研の研究成果を社会還元した功績は高く評価される。 |
業績名 |
国産材を原料とするセルロースナノファイバーの製造技術開発 |
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受賞者 |
セルロースナノファイバー研究グループ 代表 林 徳子(新素材研究拠点長) |
受賞要旨 |
2014年、日本再興戦略に記載されたセルロースナノファイバー開発のため、林拠点長(当時は主研)が中心となって独自技術である「酵素前処理を用いたCNF製造法」をベースとする研究グループを立ち上げ、食用セルロースナノファイバーの安全性という困難な課題の解決に取り組んだ。 また林野庁の「セルロースナノファイバー製造技術実証事業」で、国産材利用と地方創成を目標として、わずか11カ月でその技術実証を完遂し、これまで紙パルプメーカーの特殊な技術として考えられていたセルロースナノファイバーが、実際には誰でも製造・利用できる身近な素材であることを世の中に示し、その普及に貢献した。 |
業績名 |
東北地方の海岸防災林復興に向けた、マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ苗木の安定供給システムの構築への貢献 |
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受賞者 |
織部 雄一朗(林木育種センター 東北育種場育種課長) 山野邉 太郎(林木育種センター 育種部育種第二課育種研究室長) 丸山 毅(樹木分子遺伝研究領域長) |
受賞要旨 |
東北地方の海岸防災林復興のため、抵抗性クロマツ苗木の安定供給が強く求められている。 受賞者は、課題解決に向け、産官民コンソーシアムの中心メンバーとして、植物成長調節物質の活用と簡易な人工交配手法の適用等による種子生産性の大幅な向上、組織培養技術による毛苗の大量増殖技術等を開発し、これらの技術マニュアルを作成した。 成果はすでに生産現場で活用され、種苗の増産を通じた安定供給に向けて大きく貢献している。 |
業績名 |
シカ防護柵の壊れにくい設置方法(ブロックディフェンス)の開発と普及へのチャレンジ |
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受賞者 |
「ブロックディフェンス」に関する関東整備局プロジェクトチーム |
受賞要旨 |
関東整備局管内では、シカによる食害を防止するために防護柵を設置しているが、シカが絡まる等により破損しその機能を十分に発揮していない箇所が多く見られた。 このため、関東整備局と甲府水源林整備事務所共同で防護柵の破損リスクを軽減する「ブロックディフェンス」を考案した。これは、獣道の活用や倒木等による被害を減らす従来にない防護柵であり、シカ被害に苦しむ地域への波及効果も大きく、このような実践的な試みは、他の職員の模範となるものである。 |
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