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更新日:2018年3月22日

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平成29年度理事長賞

森林総合研究所では、平成29年11月1日に、以下のとおり平成29年度理事長表彰を行いました。

業績名

ナノセルロース/高分子複合材料開発に関する研究への貢献

受賞者

藤澤 秀次 (森林資源化学研究領域 多糖類化学研究室 研究員)

受賞要旨

セルロースナノファイバーは、その強度の高さから合成樹脂の補強に用いる研究が進められているが、親水性のナノファイバーと疎水性の合成樹脂は容易に混ざらない。藤澤秀次氏は、合成樹脂原料をセルロースナノファイバーによってエマルションとして水中に分散させ、これを重合することにより、表面がナノファイバーで覆われたマイクロサイズの合成樹脂ビーズを作ることに成功した。この成果により、第8回ICFPA国際CEO円卓会議で若手研究者ブルースカイ賞を受賞し、森林総研のセルロースナノファイバー研究水準の高さを世界に示した。その功績は高く評価される。

業績名

コンテナ苗の育苗・植栽技術に関する研究成果とその成果による低コスト再造林システム構築への貢献

受賞者

飛田 博順 (植物生態研究領域 樹木生理研究室長)
壁谷 大介 (植物生態研究領域 主任研究員)
原山 尚徳 (北海道支所 主任研究員)
八木橋 勉 (東北支所 育林技術研究グループ長)
山下 直子 (関西支所 主任研究員)

受賞要旨

林野庁の推進する森林整備において、主伐後に低コストで再造林するための関連技術の開発が大きな課題とされている。その中で、本研究グループは、コンテナ苗の水分生理特性に関する実験や野外植栽試験を行い、その育苗・植栽技術の高度化につながる研究を大いに進展させた。一連の研究成果は、国内外雑誌等へ原著論文として公表され、また森林総合監理士等の研修や各種講演会においても活用されるなど、高い学術的成果とともに、林業の現場ニーズへの対応や普及にも大いに貢献しており、その業績は高く評価できる。

業績名

気候変動下における土壌炭素動態の広域評価研究に関する研究への貢献

受賞者

橋本 昌司 (立地環境研究領域 主任研究員)

受賞要旨

受賞者は日本の森林土壌および地球全体の土壌において、土壌表面から大気中へ放出される二酸化炭素の量をデータとモデルを融合する先進的な手法を用いて広域で定量的に評価し、さらに温暖化によって放出量が増大している可能性を示した。

気候変動問題を受け、森林土壌の炭素貯留能力の解明と広域スケールでの定量的評価が急務となっているなか、先進的な手法とオリジナリティーの高いアイデアにより国内をはじめ国際的な共同研究として取り組み、森林の土壌炭素動態を広域評価した功績は高く評価される。

業績名

「平成28年熊本地震」および「平成29年7月九州北部豪雨」に係る山地災害緊急調査等への貢献

受賞者

黒川 潮 (九州支所 山地防災研究グループ長)

受賞要旨

受賞者は、平成28年4月に発生した熊本地震において、直ちに被災地調査を実施して復旧事業の推進に当たるとともに、交付金プロジェクトの主査として地震時に発生した山地災害研究を進めている。これによる詳細かつ豊富なデータは各方面から高い評価を得ている。また、平成29年7月に発生した九州北部豪雨においては、研究の立場から林野庁の治山対策検討チームの一員として被災地の緊急調査を実施すると共に、マスコミ等に対して被災状況に関する的確なコメントを行った。これら大規模災害に対する迅速かつ科学的知見による業績は高く評価される。

業績名

森林保険の商品・制度改定への功績

受賞者

足立 尚人 (森林保険センター 保険業務部長)

受賞要旨

受賞者は森林保険センター設立当初の平成27年4月より損害保険ジャパン日本興亜株式会社から出向、保険業務部長として損保のプロならではの視点から森林保険業務運営に尽力し、加入促進、業務の円滑かつ適正な実施に指導的役割を発揮した。

特に、お客様へのサービスの向上と保険事業の公平性・安定性の確保を目的として、林野庁・森林組合系統とも連携・協議を重ねながら商品・制度の改定について検討し、「保険料率」の見直し、「継続割引」や「複数の契約の始期日を統一する仕組み」等の新設に尽力し、それに必要な制度改正を行った功績は高く評価される。

業績名

特定母樹の普及に向けた特定増殖事業者への技術指導による貢献

受賞者

代表 坂本 庄生 (林木育種センター 北海道育種場 遺伝資源管理課長)
千葉 信隆 (林木育種センター 北海道育種場 育種技術専門役)
黒沼 幸樹 (林木育種センター 北海道育種場 増殖保存係長)
辻山 善洋 (林木育種センター 北海道育種場 収集管理係長)
井上 晃 (林木育種センター 北海道育種場 収集管理係員)
西岡 直樹 (林木育種センター 北海道育種場 育種技術係長)

受賞要旨

平成25年の「森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法」の改正により、新たに成長の優れた種苗の母樹を国が特定母樹として認定するとともに、都道府県に加え、認定特定増殖事業者として民間事業者等の参画を図ることとなった。

受賞者は、平成26年度から、この特定増殖事業者が全国で最多となる北海道において、つぎ木、育苗管理、採種園の設計等について、講習会や巡回指導等を通じて指導・助言を継続して行い、これら民間事業者等によるクリーンラーチの採種園の造成等がなされる見通しとなったところである。

これらの取組は、今後、優良品種等の開発とこれらを母体とした特定母樹の普及という、林木育種部門における「橋渡し」機能の強化に大きく貢献するものである。

写真:平成29年度理事長賞
平成29年度(2017年) 理事長表彰 受賞者

 

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