更新日:2010年5月11日

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平成15年度交付金プロジェクト研究課題中間評価結果

課題名: 森林・林業の資源的、社会経済的長期見通し手法の開発

主査氏名(所属): 鶴 助治(林業経営・政策領域)

担当部署: 林業経営・政策研究領域、東北支所、関西支所、九州支所

研究期間: 平成15~17年度

1.目的

わが国の森林・林業政策の適切な展開のためにはわが国のみならず、世界全体の森林・林業林産業の現状と動向を的確に把握した上で、各種の政策オプションが及ぼす影響を予め推測することが必要である。これは、森林・林業基本法に謳われている施策の総合的、計画的な実施と政策効果の定期的な検証にも資することができる。

本プロジェクトは平成14年度まで実施された研究を発展させたものであり、そこでの研究成果及び従来の知見をさらに進め、グローバルモデルと国内に関わる森林・林業研究を結びつけるものである。

2.当年度研究成果の概要

昨年度までに開発したWFPMを改良(国産丸太の価格及び需給量決定構造、森林資源成長量と伐採量が蓄積に与えるインパクト係数の見直し等)し、それに基づいてシミュレーションした結果、関税撤廃により世界の丸太生産はわずかに増加し、製品貿易の拡大が促進されること、日本などの林産物の輸入国では関税撤廃の影響によって製品輸入が拡大するという推計結果が得られた。

コーホート分析により林業労働力の将来推計を行った結果、1985~2000年の国勢調査のデータを用いた場合は2050年までは減少傾向が続き、1995~2000年のデータでは2025年までは減少するが、その後は増加に転じると推測された。

過去の民有林の森林被害発生データおよび将来の森林の齢級構成の変化等から、主な森林被害はこれまでの雪害から今後は林齢40年生以上の林分の風害が多くなることを予測した。

3.当年度の発表業績

  • (1) 岡裕泰・田村和也・立花敏・小山修・古家淳、世界林産物需給モデルによる資源影響評価、森林総合研究所研究成果選集2002、60-61、2003.6
  • (2) 立花敏、日本における針葉樹丸太の需給構造の計量経済学的解明-関連する林業施策の検討に向けて-、統計数理51(1)、135-146、2003.6
  • (3) 久保山裕史・鄭躍軍・岡裕泰、気象災害リスクの分析と評価に関する考察,日林誌85(3)、2003.8
  • (4) 鹿又秀聡・岡裕泰・田村和也、メッシュ統計による人口動態と森林、日本林学会関東支論55、2004(印刷中)
  • (5) 田中亘、2000年国勢調査から見る林業作業者数の変化、森林応用研究13、2004(印刷中) 

4.評価委員氏名(所属)

永田 信(東京大学大学院生命農学研究科教授)

5.評価結果の概要

グローバルモデルの改良や国材木材需給モデル開発、利用可能なデータの精査など、全体として順調に進んでいると評価できる。今後、4つの小課題間の情報や意見の交流をもっと密にする必要がある。

6.評価において改善を指摘された事項への対応

4つの小課題の担当者が定期的に情報及び意見交換を行う場を持つことで、小課題間での情報及びデータ、研究成果の共有と相互利活用を図ることにする。

 

 

お問い合わせ

所属課室:企画部研究管理科研究安全管理室

〒305-8687 茨城県つくば市松の里1