森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成15年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 南洋材の樹種識別及び産地特定の技術の開発
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 田崎 清(研究管理官)
担当部署: 木材特性研究領域、成分利用研究領域、生物工学研究領域、森林遺伝研究領域
参画機関: 森林総合研究所、国際農林水産業研究センター
研究期間: 平成15~19年度
1.目的
近年、東南アジア、アフリカ及び南米において熱帯産木材の違法伐採と違法商取引が重大な問題となっている。そのため、輸入木材を大量に消費する我が国としては、木材の樹種及び産地識別技術等の開発により問題解決へ貢献することが求められている。
東南アジアにおいて主に違法伐採の標的とされているのは、フタバガキ科樹木である。そこで、本研究では、フタバガキ科の樹種を中心に木材解剖学的特徴の解析、木材中に含まれる成分の組成・構造の分析、さらに核酸の分析等により樹種および産地識別技術の開発に資することを目的とする。
2.当年度研究成果の概要
木材の解剖学的特徴及び木材中の成分による識別技術の課題では、顕微鏡により、Shorea属の木材で同心円上の垂直樹脂道を観察した。材色測定では、ライトレッドメランティ、ダークレッドメランティ及びアランの3つのグループでの差が認められ、材色測定が識別の手法のとして有効なことを示した。高圧高温下、木材を濃硝酸で分解すると多元素同時分析のバックグラウンドを低く抑えることを明らかにした。この方法で、Shorea属数種の辺材、辺心材境界及び心材について分析し、アルカリ金属には辺材から心材で濃度が下がる傾向が、また生育地により元素プロファイルに相違が見られた。
核酸の分析等による樹種識別では、先ず、植物組織からDNAを抽出する市販のキットでスギ辺材からDNAが単離できた。日本産と中国産のカヤ属の識別に有効と思われる葉緑体DNA上の領域を見いだした。フタバガキ科の105種252個体で、葉緑体DNAの3領域の塩基配列を解読し、効率的に種の識別を可能にする領域を明らかにした。
以上のように、Shorea属における樹種識別及び産地識別技術の開発を進展させた。
3.当年度の発表業績
4.評価委員氏名(所属)
伊東 隆夫(京都大学木質科学研究所教授)
5.評価結果の概要
広葉樹におけるカルシウムの研究は重要であり、無機元素の解析では産地識別に向けた研究を進めてもらいたい。カヤの樹種識別では種内変異を確かめるべきである。樹木の心材からのDNAの単離が望まれており、DNAの分析による樹種識別には期待がもてる。全体として、1年間の研究の進捗を見ることが出来た。
6.評価において改善を指摘された事項への対応
各実行課題の目標を絞り込むように求められたことをうけて、各課題の内容を絞り込んで今後の研究を推進することとした。
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