森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成15年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 酸性雨等の森林・渓流への影響モニタリング
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 加藤正樹(立地環境研究領域長)
担当部署: 立地環境研究領域、森林植生研究領域、水土保全研究領域、木材特性研究領域、北海道支所、東北支所、関西支所、四国支所、九州支所、木曽試験地
研究期間: 平成12~16年度
1.目的
ヨーロッパや北米を中心とした森林衰退の原因として、酸性雨等の環境汚染物質による影響の可能性が疑われ、各国で酸性降下物のモニタリング網が構築された。日本でも環境庁が東アジアネットワークを構築し、林野庁も国内森林域の降水成分のモニタリングを行った。本研究では、林野庁のモニタリングネットワークと連携を図りつつ、酸性降下物等の負荷実態と森林・渓流への影響のモニタリングを行う。
2.当年度研究成果の概要
全国8箇所のモニタリングセンターステーションにおいて、降水と渓流水の水質モニタリングを実施し、データを蓄積した。各地における水質の平均値は、降水のpHが4.6~5.0、電気伝導度(EC)が8~35μS/cm、渓流水のpHが6.3~7.4、ECが15~61μS/cm程度で、例年と大きな違いは認められなかった。降水水質のモニタリングの結果、2002年は各地で黄砂の影響が顕著であったが、2003年は東北地方の2箇所調査地で4月に黄砂の影響とみられるカルシウムイオン濃度の上昇がみられたほか、北海道で春先にpHがやや高い値を示した程度であった。
群馬県本白根山で採取したモミ属枯死木の年輪解析を行った結果、肥大成長量は衰退初期に急激に減少したが、その後の減少程度は小さく、徐々に年輪幅が狭くなっていることを明らかにした。
3.当年度の発表業績
4.評価委員氏名(所属)
岡崎正規(東京農工大学大学院 生物システム応用科学研究科 循環生産システム学講座 教授)
5.評価結果の概要
国土の67%を占める我が国の森林を全国レベルで長期にわたり降水、渓流水、さらに林内雨、樹幹流等の試料を定期的に採取・分析してモニタリングを行い、酸性雨等の森林・渓流への影響を明らかにしている。森林における本長期モニタリング研究は一部の地域において分析が遅れているものの、モニタリング研究の成果は着実にあげられており、高い評価を与えたい。今後、これらの成果に基づいた森林・渓流のよりよい管理のために、研究結果をデータベースにおさめ、必要なときにただちに利用できる状況を早急に構築しなければならない。そのための予算措置が必要である。
6.評価において改善を指摘された事項への対応
本交付金プロジェクト研究は、平成16年度に終了することになっている。研究終了後、速やかに水質等データの精度管理を行った上でデータベース化を図る方向で検討を行っている。
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