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更新日:2016年1月12日

立田山実験林の沿革 

 森林総合研究所九州支所は、昭和22年12月に熊本営林局内に併設された支場として発足し、昭和27年から独立した林業試験場(現在は森林総合研究所)熊本支場(同、九州支所)設立の整備計画がたてられた。

 熊本県は、熊本市に誘致するために「林業試験場誘致会」を組織し、戦時中に護国神社の建設予定地として造成・整地されていた土地(現在地)への誘致活動を積極的に行った。この際に、付属実験林として隣接する立田山緑地(立田山の標高152.2m、緑地面積約600ha)の一部を寄付することなどの提案があった。この結果、現在地(熊本県熊本市黒髪4丁目11番16号、図-1)を林業試験場熊本支場の設立地として昭和28年3月に林野庁が庁舎などを建設し、昭和29年4月に移転した。九州支所および実験林の位置

 付属実験林となった立田山緑地一帯は、太平洋戦争前は旧肥後藩細川家の所有地であったが、戦後は東洋繊維株式会社の山林となり、その一部は開拓農協により薬木草等も栽培され、畑として利用されていた。このうち南面の約30haが熊本県による買収後、昭和29年7月に当時の熊本県知事から当支所の実験林用地として農林大臣あてに寄付された。その後、昭和30年6月13日をもって承認され、当研究所の実験林となった。

 昭和30年時の当実験林内には豊臣秀吉を祀る豊国廟が含まれていたが、史跡のため昭和38年所管換を行い、現在は熊本市が管理する公園となっている。また、10林班い1小班内には文化12年(1814年)建立の山神祠がある。細川氏の藩政時のもので「御山支配役」や「御山治」などの銘が刻まれ、藩政時代はこの立田山の森林が守られていたことがうかがわれる。

 しかしながら、太平洋戦争およびその戦後の時期に戦時物資供給・戦後の引揚開拓農民対策として、細川氏藩政時代に守られてきた森林の大半は伐採された。昭和31年当時には、細川家の菩提寺敷地(細川家廟所)として残された場所以外のほとんどの森林は切りつくされ(図-2)、ほとんど森林がない土地を実験林としてあてがわれた。

立田山今昔比較航空写真

 当時の実験林は、大正6年植栽によるヒノキ人工林約2.2haのほかには利用可能な森林もなく、樹高1~2mのアカマツ幼齢木(面積で約5ha)はじめ、シイなどの常緑広葉樹の幼齢木、ハギなどの小灌木、ササ類、ススキ、およびツタ類によって林地が覆われていた。このため、昭和30年から地形・境界測量、植生・土壌調査等を行い、地況や林況に応じて林・小班を設定し、当時の社会的ニーズを背景に成長試験を中心とした試験林を設定し、造林を行った。

 昭和33年までに灌木・草本・ツタなどを整理し、さらに、昭和37年までに造林、土壌、経営の各研究室及び調査室によって、ヒノキ成長比較試験林、テーダマツ産地別試験林、ヒノキ・アカマツ混植試験林、スギ直ざし試験林、林地肥培比較試験林、外国産マツ成長比較試験林、クヌギ成長比較試験林などを設定した。その後、シイタケ試験用野外ホダ場の設置や、頻発する山火事対策として、シイ・カシ類を主とする常緑広葉樹による防火樹帯の造成などを行った。

 昭和38年以降現在までは、すでに設定されている各種試験林等の保育管理、各種調査を主として進める一方、山火事、寒害、病虫害等による被害林分については改植・補植し、保育過程にある林分は2次的活用としての林地肥培試験、虫害生態調査林の設定、シイ類用材林誘導試験林の設定などに利用してきた。また、需要に応じた林道、作業道の開設・整備、さらに、山火事対策としての防火用水槽4基と、環境計測室および気象観測用鉄塔の設置などを行った。このような研究目的の植林により、現在では、当支所移転当時とは比べようもないほどに森林の再生が進んでいる(図-3)。

 昭和61年3月には実験林北西部で山火事が発生した。その跡地の一部は、「山」の字を呈するように落葉樹を植栽して落葉樹混植景観造林地とした。山火事に関しては、ゲートを設け車両による入林を許可制にした効果および林冠の閉鎖による下草繁茂の抑制効果により最近ではほとんど発生しなくなった。

 しかし、平成3年の台風19号では特に外国産マツの植栽試験地において、平成11年9月の台風18号では大正6年植栽のヒノキ人工林(図-3)及び昭和37年植栽のスギ立木密度試験林において(図-3の方形に見える新植地)、平成16年の台風18号では8林班のヒノキ、9林班のコジイ、10林班のスギにおいて風倒被害が発生した。また、平成18年にも台風に伴う強風時の倒木・幹折れ被害が認められた。さらに平成27年8月25日に台風15号が来襲し樹木園及び実験林全体に風倒木や落枝が発生し進入規制を行う事態となった。このように、近年では、実験林のみならず、構内外の樹木などが成長して大きくなり、頻繁な気象災害が発生している。