文字サイズ
縮小
標準
拡大
色合い
標準
1
2
3

森林総研トップ

ホーム > 特設ページ【九州・四国地域公開講演会】

更新日:2020年12月25日

ここから本文です。

令和2年度森林総合研究所 九州・四国地域公開講演会「植えた樹を鹿から守る」

タイトル


 今年度の公開講演会は、森林総合研究所交付金プロジェクト「九州・四国地域の若齢造林地におけるシカ被害対策の高度化(交プロ1・若齢林シカ)」の研究成果報告会を兼ねて、九州支所と四国支所とが合同で講演会を開催することといたしました。

 しかし、本年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため、会場での開催は中止としました。代わりに、12月1日(火曜日)から、YouTube(森林総研チャンネル)を利用した講演動画の配信を行いますので、是非ご視聴ください。

開催概要

チラシ
(PDF:434KB)
 

我が国の森林・人工林は主伐期を迎え、皆伐と再造林が進められる一方で、再造林地におけるシカによる食害等も年々増加しており、効果的なシカ被害対策が林業における喫緊の課題となっています。森林総合研究所では、せっかく植えた苗木をシカの被害から守るため、様々な研究開発に取り組んできました。今回は、その研究成果の一部を紹介するため、5題の発表を行います。


配信開始:
令和2(2020)年12月1日(火曜日) ~

配信場所:YouTube (森林総研チャンネル) ※外部サイトに接続します。
     九州・四国地域公開講演会 専用再生リスト

質問受付:令和2(2020)年12月1日(火曜日)~8日(火曜日)
        →質問受付終了

  質問と回答は こちら

講演内容

講演1:植えた樹をシカから守るために(九州支所長 陣川雅樹)

 我が国の森林・人工林の多くは主伐期を迎えており、森林を積極的に伐採・利用するとともに、森林の若返りを図るため再造林が進められています。その一方で、再造林地におけるシカによる食害等も年々増加しており、効果的なシカ被害対策が林業における喫緊の課題となっています。森林総合研究所では、せっかく植えた苗木をシカの被害から守るため、様々な研究開発に取り組んできました。
 今回は、森林総合研究所交付金プロジェクト「九州・四国地域の若齢造林地におけるシカ被害対策の高度化」の研究成果報告会を兼ねて、九州支所と四国支所とが合同で講演会を開催し、その研究成果の一部を紹介します。

演題1
スギ苗を植栽した再造林地

講演2:単木保護資材を利用したスギ苗の保護(九州支所・森林生態系研究グループ 野宮治人)

 シカ被害対策には防鹿柵が広く使われていますが、最近、筒状の単木保護資材(写真参照)を利用した施工地を見ることがあります。スギ苗1本1本を守っているので、防鹿柵が壊れた時に比べて全滅になるようなシカ被害は発生しないだろうと期待されています。
 しかし、国内では研究事例は非常に少なく、その効果に関する知見は未だに十分ではありません。そこで、九州と四国で施工後2~7年の47施工地を調べて、単木保護資材の特徴をまとめました。まず、シカ被害を受けなかったスギ苗は施工後3~4年になると半数以上が単木保護資材を超えており、筒の中でも順調に樹高成長していました。
 一方で、施工地の被害率は0%から100%まで幅広く確認されました。被害はスギが成長して先端が筒の外に出た後で多く発生していましたが、どの程度の被害が発生するかは、施工地周辺に生息するシカの個体数や餌となる植物の質や量に影響を受けると考えられます。関連する講演3や講演4も参照下さい。

演題2
単⽊保護資材を施⼯した造林地

講演3:皆伐地の食痕でシカの多少を推定する(四国支所・森林保育管理担当チーム長 大谷達也)

 シカ生息地において皆伐後の再造林を成功させるには、あらかじめシカの多少を判定して有効な対策を講じる必要があります。そのために、特別な機械や技術を使わなくても、簡単な調査によってその皆伐地にどの程度シカがいるのか推定する方法を検討しました。皆伐地の外周部においてシカに食べられた植物の痕跡(食痕)を見つけて点数をつけることによって、その皆伐地にどれほどのシカが出入りしているかおおよそ推定できることがわかりました。
 さらにこの方法によって、苗木に単木保護資材をつけてもシカによる被害が発生するリスクがあるか評価できる可能性も示されました。この方法では食痕のある植物種が1種なのか2種以上かを見分けるだけなので、植物名についての知識は必要ありません。現在の方法は皆伐地ができたあとに調べるものですが、将来的には伐採の前に判定できるようにしたいと考えています。

演題3
ヤマアジサイの食痕
(赤丸は食べられた部位を示す)

講演4:多点調査でみる防鹿柵の破損とシカ被害(九州支所・森林生態系研究グループ 山川博美)

 シカの生息地域の拡大や生息密度の増加に伴い、シカによる森林被害が増加し、林業的にも重大な問題となっています。造林地でのシカ被害対策として、防鹿柵を設置することが一般的ですが、シカ被害を完全に防ぐことは難しいのが現状です。
 そこで、九州・四国地域で柵の破損、苗木の被害とシカの痕跡の有無についてアンケート調査を行いました。設置された防鹿柵は、約6割の造林地で穴開きや倒壊などの破損、急傾斜地や沢・谷を含んだ造林地に限ると約9割で破損がみられました。破損した防鹿柵内の植栽木にはシカによる食害がみられ、刈り込まれた盆栽のような樹形になっている造林地もありました。
 さらに、シカによる植栽木への被害の程度は、造林地周辺の植物への採食の痕跡やシカ糞の量、足跡などの痕跡の有無と関係が認められ、痕跡を確認することでシカ被害を予測できる可能性があることが分かりました。

演題4
シカの採食によって盆栽状になったスギ植栽木

講演5:シカ被害対策グレードアップ術(野生動物研究領域長 岡 輝樹)

 防鹿柵はシカによる林業被害を防除する資材として一般的ですが、どんなに仕様やマニュアルに忠実に設置したとしても、あとは樹の成長を待てばいいというほどの優れものではありません。柵としての機能を阻害する主たる要因は、そこに生息している動物による干渉であり、特にイノシシやアナグマによるネット下部の潜り込みの跡は、早急なメンテナンスなしではシカの侵入を許すことになります。
 さらに全国約1,200林分を解析したところ、生息しているシカが多いほど、被害が発生する確率も予想される被害レベルも高く、逆に防除効果が高い柵は「飛び越え」、「ネットの噛み切り」、「下からの潜り込み」を防ぐ工夫がされているものでした。対象地域のシカの多少と立地環境に適した被害対策を選択し、特に柵については破壊につながる気象要因対策も施したうえで、シカ以外の動物による干渉にも耐えられるよう意識することがグレードアップにつながると考えます。
 講演2、3で紹介した単木保護資材に関する新しい知見の他にも、防鹿柵に関して地形に応じた支柱の配置や獣道を残すブロックディフェンスなどの方法も検討されています。シカ対策にはまだ完全な方法はなく、いろいろな要因を鑑みて対策を選択、適用する必要があります。
 森林総合研究所としては状況に応じた適切な被害対策を提案できるよう、これからも研究を進めていきます。

演題5
ネット下部から防鹿柵を通り抜けるオスジカ

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

所属課室:九州支所地域連携推進室 

〒860-0862 熊本県熊本市中央区黒髪4-11-16

電話番号:096-343-3168

FAX番号:096-344-5054

Email:kyswebmaster@ml.affrc.go.jp