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更新日:2013年6月10日
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平成22年11月15日、森林総合研究所九州支所と合同で「平成22年度九州地域研究発表会」をくまもと県民交流館パレアで開催しました。
今回の発表会は-暖温帯・亜熱帯の森林における生物多様性の維持-と題し、以下の4つの発表を行いました。
森林総合研究所林木育種センターでは、林木遺伝資源の保全と利用に資するため「林木のジーンバンク事業」を実施しています。この事業では、絶滅に瀕している樹種等の希少・貴重な林木遺伝資源の保全を図るとともに、林木の新品種の開発に不可欠な育種素材として利用価値の高い林木遺伝資源等を確保するため、その収集・保存を進めつつ、これらの資源の有効活用を図るため、特性評価、情報管理及び試験研究用として配布をしています。また、地元で大切に管理・保護されてきた貴重な天然記念物等の樹木が何らかの原因で衰退してきた場合等には、所有者等の要請により親木と遺伝的に全く閉じ遺伝子を受け継いだ後継クローン苗木を増殖するサービス「林木遺伝子銀行110番」や生息域外での保存管理技術の開発も行っています。今回、この事業を中心に紹介をさせていただきます。
沖縄島の北部に広がる亜熱帯照葉樹林「やんばるの森」には、日本で唯一の飛べない野生の鳥であるヤンバルクイナや、世界で最も希少なキツツキの一つであるノグチゲラが暮らしています。沖縄島には従来、肉食の晴乳動物が生息していなかったため、やんばるの森に暮らす鳥たちは、地上生活に適応した独自の進化を遂げてきました。しかし、今からちょうど100年前、ハブ対策などのためにこの島に持ち込まれたマングースが、近年、希少な動物たちの生息地に分布を広げ、大きな問題となっています。本講演では、やんばるの森の生物多様性保全に向けて、今後、必要な取り組みについて考えていきたいと思います。
現在、地球規模で生物多様性の劣化が急速に進んでおり、人類はこれを阻止するという目標を達成できずにいます。これまで演者は生物多様性のホットスポットとされる小笠原諸島と阿蘇で絶滅危慎種の保全や外来種駆除に関する研究をしてきました。本講演ではそれぞれでの研究を例に生物多様性をどう維持すべきかという問題について考えたいと思います。小笠原諸島は独自に進化した固有種が数多く生息する海洋島で、世界自然遺産の候補地にもなっています。ところが、生息地破壊や外来種問題が進行し、固有の生態系は危機的な状況にあります。現在、さまざまな対策が講じられており、そのいくつかを紹介します。阿蘇は人が管理する草原生態系で多様性が維持されてきた特殊な地域です。全国的に草原が減少する中で、阿蘇は多くの草原性絶滅危倶植物の有力な自生地となっていますが、安泰な状況とはいえません。本講演ではハナシノブの研究を中心に、草原性絶滅危慎種の現状と課題について紹介します。
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