林業の労働災害を減らすために

林業工学研究領域
収穫システム研究室 上村 巧
Top   |   ソフトウエア配布   |   道具と技   |   伐倒技術   |   おさらいワイヤロープ   |   作業安全   |  

伐倒技術

伐倒技術の変遷

伐倒技術はどのように変化してきたのでしょうか。坂巻氏とりまとめの下図によると、最も古くは石斧から、鉄製の斧へ、さらに斧と鋸の併用、現代に至ってはチェーンソーを使用した伐倒が主となっています。これらの道具の発達と普及に伴い、それらの切削方式と能力によって伐倒方法も変化してきていると言えます。

また、最も古くは木の周囲を削って伐倒したと考えられますが、伐倒方向が定まらず危険なことと、その後の作業もやりにくくなります。そこで、伐倒方向をコントロールする手段が必要になり、早い段階から伐倒方向に向いて作られる「受口」と反対側に設けられる「追口」が発明され、ある程度の制御が可能になったと考えられます。

特に受口は伐倒方向を決めると同時に、伐倒木の跳ね上がりや材の裂け・引き抜けを防ぐものとして重要視されました。そのことは、受口の良否が良いことも悪いことも受け合う(請け合う)、さらに切り口が人の口によく似ているので受合口と言ったのが「受口」の語源となったという伝承(辻、1995;辻・林、1989)からもうかがえます。

受口と追口を正しく設けることは、それらの間に残されるツルの機能が正しく働くことと同じです。ツルが倒伏過程の樹木を支え、狙い通りの方向に倒すための蝶つがいの役割を果たすのです。正しいツルを残して伐倒するため、受口と追口の作り方を習得することが安全な伐倒のための最重要点です。

伐倒技術の変遷

伐倒技術の変遷 ( 辻:1995内、坂巻原図をトレース)


辻隆道(1995)吉野川流域の伐出技術‐吉 野川の木ながし及び三好地域の伐出.163pp,吉野川流域林業活性化センター,徳島.

辻隆道・林寛(1989)労働安全のアドバイス.203pp,林 業科学技術振興所,東京.