コスト・収益予測
技術体系の経済性は
- 費用合計
三重県内の急斜面に位置する33年生と48年生のヒノキ人工林で実証試験を行ない、主にタワーヤーダでチェーンソー伐倒した間伐木を集材する方式で行なった結果、1回の作業でhaあたり995,000円の経費が必要でした(表)。
また、北海道の緩斜面に位置するトドマツ林過去15年間に3回の間伐(23年生、29年生、38年生)を行なった実証試験の費用を集計したところ、チェーンソー伐倒した間伐木をトラクタで集材した3回の作業でヘクタールあたり合計1,100,000円と計算されました。
以上の実証試験から広葉樹林化に必要なおおよそのコストがわかります。一見高コストのようですが、苗木代、植栽のための人件費等のコストはかけていません。したがって、集約的な施業に比べれば低コストと言えます。広葉樹林化を行なうのであれば、この程度のコストはかかってしまうと認識しておく必要があります。また、搬出を行わない伐り捨て間伐であれば、さらにコストを削ることが可能となるでしょう。
- 収益性
北海道の場合、平成26年3月の時点でミズナラの丸太価格(立米20,000円以上)はエゾマツ、トドマツ、カラマツ(いずれも立米15,000円未満)を上回っています。この価格差が将来も維持され、目標林型にミズナラが含まれている場合、将来の収穫時に収益の面でも大きなメリットがあるでしょう。ただし西日本の方では、少なくとも現時点で、広葉樹が高値で取引されることはないため、広葉樹林化による環境面での機能向上の評価を何らかの形で還元できるようにすることが望ましいでしょう。
作業項目 | haあたり経費(円/ha) |
---|---|
小計(税抜き) | 995,000 |
選木 | 41,429 |
伐採準備(下刈・除伐) | 50,000 |
伐採 | 110,000 |
搬出 | 450,000 |
運搬 | 33,571 |
機械経費 | 310,000 |