(研究資料)

アカマツ天然生除伐試験林の解析(第3報)

試験の経過と結果

只木良也・竹内郁雄・河原輝彦・佐藤 明・蜂屋欣二

要旨

1951年に設定された「アカマツ笠間除伐試験地」は,2年ごとの調査が継続され,1976年の最終調査をもって終了した。試験区は,アカマツの天然生幼齢林を除伐して,疎立,初期密度10,000/haに整理したものと放置の3区から成立っている。

 試験区は2年ごとに毎木調査され,成立本数と直径,樹高,断面積,幹材積などが記録されるほか,試験区周辺などで現存量調査のための伐倒測定が随時行われた。1976年には,最終調査として,毎木調査と試験区の伐倒調査が行われた。

 各区の生育経過をみると,密度の影響は樹高よりも直径に大きく現れ,また変動係数も直径で大きい。本数減少は,密度が高いほど著しく,単位面積あたりの断面積や幹材積は生育にともなって増加するが,試験終期にはその増加速度は低下し,とくに高密度においてその傾向が顕著である。これらを総合して,いわゆる密度効果の法則が生育経過に応じて成立することが確かめられた。自然間引きの経過も,従来認められている法則が確認された。

 試験区およびその周辺で得られた資料を用いて,この地区における等樹高曲線,最多密度線,自然間引き線などが求められた。

 葉量の垂直分布は,高密度で葉量が上層に集中する傾向が認められ,新葉率も上層ほど高くなった。新葉率には密度の影響はあまり認められないが,林齢が増加すると新葉率はやや低下した。地上部の現存量の配分比は,生育段階初期で葉の占める比率が大きく,これは低密度ほど顕著であった。

 試験地周辺での林分葉量は平均6.3t/ha,地上部純生産量は平均して13.1t/ha・年と概算された。林分葉量が大きな林分ほど純生産も大きい傾向が認められた。

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