カラマツ落葉病抵抗性選抜クローン間交配苗の接種検定

林 弘子・小林享夫・佐々木克彦・陳野好之・田村弘忠・青柳茂男・千葉 修・竹花修次

要旨

 カラマツ落葉病抵抗性選抜クローン交配苗に対する接種検定のため,病原菌の培養菌糸による人工接種方法について実験を重ね,病落葉上の胞子による自然感染法との比較のもとにその可能性を確認した。浅間検定林に集植された本病低抗性候補木クローンの中から低抗性,中度抵抗性,感受性として選抜されたクローン間の交配実生苗各家系に対して菌糸接種方法により1974年,1975年に検定を行った。判定は各交配家系および交配群における交配苗個々の病葉率の量的な分布をもとにして行った。1974年の接種検定では,抵抗性選抜3クローンのうちの2クローン(TR1040TR1074)の交配家系群は抵抗性傾向を示す比率が高く,他の1クローン(TR1056)の交配家系群は選抜クローン中最も高い感受性傾向を示した。また中度抵抗性選抜クローン(TR10141051)の交配家系群は感受性選抜クローン(TR10111019)の交配家系群よりも高い感受性傾向を示した。1975年の接種検定では,全般的に低い病葉率であったが抵抗性選抜クローンは前年と同様の傾向を示し,1クローン(TR1056)を除き自然感染による検定林の調査結果とも類似の傾向を示した。
 選抜クローン交配系統と同時に行なった精英樹を母樹とする選抜クローンその他との交配苗に対する接種結果は両年ともさまざまであった。
 1974年は全般的に選抜クローン交配系統より高い病葉率を示し,2年生苗は1年生苗より高い傾向を示したが,1975年の接種における2年生苗と3年生苗の間にはこの傾向は見られなかった。

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