(研究資料)

野幌林業試験場樹木園の造成経過と現状分析

舟木敏夫

   要旨

 林業試験場北海道支場の前身の一つである野幌林業試験 場(内務省所管)は1908年現在の江別市西野幌字志文別に設置されたが,このとき庁舎に隣接 して樹木園が造成された。樹木園は1909年から10数年にわたって造成され,面積2.0ha,306区 画に202樹種が植栽された。造成にあたっては多くの努力が払われたが,その後の社会情勢の 変化により,敷地の約半分は1953年に札幌営林署の種苗事業所用地に転用され,樹木園として の管理は現在行われていない。残存しているのは73区画,49種にすぎないが,植栽時や苗木入 手等の記録があり,しかもこれほど多数の高齢の植栽木を1か所に持つのは他になく貴重な存在 であり,記録を整備しておく必要があると考える。植栽木の調査は1915年に行われており,そ の後1,2回行われたようであるが記録はない。今回は造成経過を明らかにするとともに1977年 現在における植栽木の残存状況,生育状況などについて調査を行った。植栽樹種の残存状況は 用地の転用による減少を除けば約5割が残っている。異郷土樹種と郷土樹種の残存状況は高木に ついては大差はない。広葉樹は針葉樹に比し残存率が低かった。生長状態は14樹種について北 海道主要樹種収穫表,野幌試験林の既往のデータと対比して検討したが,胸高生長は優ってい る反面樹高生長の劣っているのが多い。樹形については幹が2本以上に分れている複幹が多かっ た。

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