(研究資料)

下北半島におけるスギの寒害個体の解剖的観察

村井正文

   要旨

スギの乾燥害をうけた個体および低温恒温室で人為的に凍害を誘発した個体について,そ の被害の現われ方を解剖的観察によって調査をしてきた。今回は下北半島の津軽海峡に面したスギ造 林地で冬期の季節風により被害を受けたと思われる枝の各組織内の樹脂状物質状態の変化に焦点をし ぼって解剖的観察をおこなった。被害部位では樹脂状物質が変形したり,消長する現象が観察され た。この結果からみて,寒風害は冬期の乾燥害といわれているが,ここで取扱った試料は乾燥による 被害だけではなく,寒さによる被害も加わって枯死したものと思われる。

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