林業用鋼索の疲労に関する研究 第4報

作業索(6×Fi(25)JIS12号)の疲れ寿命試験

機械第1研究室,上松運輸営林署ロープ試験室

   要旨

 繰り返し曲げを受けるワイヤーロープの疲れ寿命を知るために,疲れ 試験機を用いて同一条件のもとで,S曲げ疲れ試験を実施した。試験の計画と具体的な方法は第1報の結果 にもとづいており,本報で試験の対象としたワイヤーロープの構成は6×Fi(25)(JIS12号)で,直径は 12mmである。試験条件は張力350s,滑車直径190mmであり,第3報に報告した6×19(JIS3号)の場合と同 じである。試料の総数は製造会社9社の製品185本である。この試験からつぎのような結果を得た。
 上記試験条件におけるこのワイヤロープの疲れ寿命の平均値は,データ(T)では7,653回,デー夕(U) では9,560回であった。この差は素線断線の検査方法の差によるものである。いずれの場合も変動係数は約 20%であった。寿命値の確率密度関数の型として正規分布とワイブル分布を選んで,適合性の検定をし比 較した。一定回数(8,000回)の曲げを与えた後の残留強さの平均値は5.07×103sであった。寿命値およ び一定回数の曲げを与えた後の残留強さから,ワイヤロープの耐疲労性を製造会社間で比較し有意な差が あることを認めた。また疲れの進行にともなう素線断線の発生経過と断線の種類について,観測記録を得 た。

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