山地流域における渇水量と表層地質・傾斜・植生との関係

志水俊夫

   要旨

 水源山地流域からの渇水量と流域条件との関係を把握することは, 水資源対策上きわめて重要な課題である。既存資料から求められた渇水量(流況曲線における355日流 量)と流域の地質,地形,植生との関係について考察を行った。その結果,第三・四紀火山岩類,花崗 岩類からなる流域は,中・古生層,第三紀層からなる流域に比べて,渇水量が豊富であることがわかっ た。また地質別の減水曲線および豊水−渇水比の検討から,前者の地質地帯は後者の地質地帯に比べて, その水源涵養機能が良好であることがわかった。緩傾斜斜面の多い流域は,急傾斜斜面の多い流域に比 較して,渇水量の値は大きい傾向にあった。大流域を対象としたこの検討では,流域の植生区分と渇水 量との間には明確な関係が認められなかった。

全文情報(1,691KB)