中川伸策
カラマツ母樹とそれからのつぎ木によって育成した24クローン 合計214本の樹幹について,繊維傾斜度のいくつかの指標の変動を求め,さらに母樹とクローン の関係を検討した。
クローンの平均繊維傾斜度と最大繊維傾斜度との相関はきわめてたかく(r =0.936),その 最大繊維傾斜度が現われる髓からの年輪数は平均4.4であった。クローン内における各年輪ごと の繊維傾斜度の変動幅は,大多数の年輪においてほぼ11〜7%で,その範囲はかなり小さい。また, 髓から外周へ向かっての繊維傾斜度の出現型は,各クローンごとに類似した傾向を示すので,幼 齢時における最大繊維傾斜度と繊維傾斜度の出現型は,成熟時におけるこれら2形質の指標的意 味をもつものと考えられる。
母樹の最大繊維傾斜度とクローンのそれとのあいだには5%水準で有意の相関が認められた( r =0.619)。
供試した全クローンの胸高部の円板に現われた平均繊維傾斜度およびそれら円板の最大繊維 傾斜度をもちいて推定した反復カは,それぞれ0.27,0.54であった。
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