カラマツ間伐材より製造した実大サイズの木毛セメント板の性質

高木 純,大黒昭夫

   要旨

 これまでカラマツ材はセメントの硬化不良をおこすため,木毛セメント板の 原料としては忌避されていたが,間伐材の利用開発を図るため,材料条件の明らかな原料を対象に,実際の 工場の一般的な条件で製造実験を行い,セメント硬化障害,木毛長の曲げ強さにおよぼす影響,製品の難燃 性などについて検討した。
 カラマツ間伐材は14年生で,比較に用いたアカマツは20〜80年生である。なお,硬化障害となる多糖類の量 は40年生のカラマツ心材で51.5mg/gであるのに対し,間伐材(辺心材)では11.1mg/g,アカマツ材(辺心材)で は5.4mg/gであった。
 カラマツ間伐材を用いたセメント板の曲げ強さはアカマツのそれの約80%の値を示した。また,1年間放置後に 製造されたセメント板は,伐採40日後に製造されたものに比べ,曲げ強さが上昇していた。これらのことより,カ ラマツ幼齢木のセメント硬化障害は,成木ほど激しいものではなく,原木のまま1年ほど放置することが効果的 であることがわかった。
 木毛長22.5cmのものは45pのものに比べて,厚さ,比重の均一性が改善され,たてとよこの強さの差が小さ くなった。
 難燃性については比重が大きな因子となっており,カラマツ間伐材のセメント板はtd・θおよび残炎の項目で, 難燃木毛セメント板としての規格に適合しなかった。

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