トドマツ人工林の収穫量と収益の予測システムに関する研究

真辺 昭

   要旨

 林分の初期状態と間伐方法の指定に応じて,トドマツ人工林 の幹材積,利用材積および金員収穫を予測するための計算システムを組立てた。システムの基本は, 樹高の関数で表わされる収量密度効果の逆数式であるが,このパラメータの推定方法を改良して非 線型最小二乗法を用いる新しい方法を示した。また,立木度を補正係数とすることで幹材積の予測 精度を著しく高めうることを示し,収穫試験の成績から立木度の時間的変化の予測式を導いた。さ らに,本数間伐率と間伐種の数量的表示を併用すると,間伐材積をほとんど誤差なく推定できるこ とを確かめ,これらの結果をまとめて,幹材積収穫量の予測システムを組立てた。
 次に,予測された幹材積収穫量の価格づけのために,幹曲線式を導き,これに平均品等の考えを 組合わせて,単木ごとの平均的な品等別丸太材積と市場価格を求めた。林分の利用材積と市場価格 は,単木の数値の積みあげであるが,この計算を簡略化するため,単木についてえられた結果をい ろいろな林分の本数分配表に適用して,林分平均直径,平均樹高等を変数とする推定式を求めた。 生産費は標準的な林分条件を仮定して国有林の評定方法をそのまま用い,市場価格の評定方法とあ わせて伐採収益の評価システムを構成した。最後に,具体的な林分調査データを用いて,このシス テムによる間伐,主伐収益の計算例を示し,林分状態と収益性の関係について考察した。

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