(研究資料)

林木の苗木の低温貯蔵試験

古川 忠,及川伸夫

   要旨

 パネル組み立て式の直接冷房方式簡易低温貯蔵庫を用いて 苗木の冬期貯蔵に関する実用試験を行った。-2℃から5℃の間の温度条件で,スギ,アカマツ, カラマツの3年生実生苗とミズキの1年生苗を,箱詰,ビニール袋詰,コモ巻の3方法で,11月下 旬から7月中旬まで貯蔵し,苗木の状態,植栽後の活着率,生長を調べた。別に報告した関連実 験の結果を含めると次のように要約できる。直接冷房方式の低温庫に苗木を貯蔵する場合には, ダンボール箱かビニール袋などで密封梱包することが必要である。貯蔵中は,凍害をうけぬよ う,また苗木が活動しないように-3℃から3℃の範囲に温度を保つのが適当である。この範囲の 温度は貯蔵中のカビの発生を防ぐことにも役立つが,この範囲の温度でも活動する菌もあるの で,過湿をさけ,また適切な殺菌剤を使用すればさらに効果的である。貯蔵条件に注意すれば, 7月中旬までほとんど活着率を落さずに貯蔵できるが,あまり遅くなると植栽年の生長は減少す る。

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