(研究資料)

パルプ中の硫黄量

桜井孝一

   要旨

 わが国で生産されているパルプの大部分は紙に使われ,最終的には“ごみ”として焼却されている。この“ごみ”を燃料として利用することが考えられるが,この場合硫黄による大気汚染が懸念されるため,紙類の原料としてのパルプ中に含まれている硫黄量を,パルプ製造法別に測定した。また同時にパルプの発熱量を測定した。その結果晒硫酸塩パルプ(B・KP)で0.014〜0.035%,未晒硫酸塩パルプ(U・KP)では,0.046〜0.125%であった。晒亜硫酸パルプ(B・KP)では0.012%程度であったが,未晒亜硫酸パルプ(U・SP)では0.683%を示した。またケミグラウンドパルプ(CGP)では0.025〜0.331%で,ほかのグラウンドパルプ(GP),リファイナーグラウンドパルプ(RGP),サーモメカニカルパルプ(TMP)では0.024〜0.154%出会った。
 発熱量は高収率U・SPおよびCGPで5,000〜5,100cal/gであったが,残存リグニンの少ない晒パルプではそれより低かった。

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