(研究資料)

34年経過した鉄網モルタル壁における鉄釘の劣化調査

今村浩人・大黒昭夫・唐沢仁志・高木 純

要旨

 建設後約34年経過した横浜の旧米軍住宅の取り壊しに際し,釘の劣化度の調査を行った。
対象とした住宅は在来工法によるもので,外壁はラスモルタルで仕上げられ,内壁は木ずりにプラスターが塗られている。柱,間柱,モルタル下地板および土台は無処理のスギ材である。調査目的は,モルタル壁における釘の劣化度の資料を蓄積すること,および壁内部における木材の腐朽の有無を,モルタル含水率,木材含水率および釘の劣化度から判定できるかどうかを検討することである。壁内の木材および釘の劣化は,モルタルのクラック部より雨が浸入する箇所および台所付近では特に著しい。住宅の四隅におけるモルタル含水率に対しては,方位などよりもクラックによる影響の方が大きいようである。モルタル含水率が3%程度を超えると,内部の木材が腐朽している場合が多かった。木材は含水率が20%近くから腐朽が多くなる。また,釘の劣化がはげしい部分の木材は腐朽しいる。

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