(研究資料)

人工林の複層林施業に関する研究(Y)

複層林の寒害防止効果

古川 忠,貴由 忍,岩崎正明,及川伸夫,村井正文,長谷川浩一

複層林施業研究班

   要旨

 カラマツおよびアカマツ人工林(林齢13年生)において,小面積帯状皆伐植栽 および下木植栽を行い,スギ植栽木に対する寒害防止効果について調査した。小面積帯状皆伐区の植栽後9年 間の調査では,植栽活着後4年まで寒害による枯損が生じ,とくに4年目に枯損が多かった。4年目の生存率はア カマツ林実生苗区(約90%)>アカマツ林さし苗区≒カラマツ林実生苗区(約75%)>カラマツ林さし木苗区(約50%)であった。5年目以後は枯損はきわめて少なかった。また,さし木苗は実生苗より枯損がひどく胴枯型凍害が 多かった。植栽木の樹高生長はアカマツ林の伐跡地よりカラマツ林伐跡地の方がすぐれていた。
 上木の間伐率(30%,50%,70%)を違えた下木植栽区の植栽後8年間の成績では,各区とも寒害による枯損は 全くなく,芽枯れ程度の軽い被害であり,下木植栽の寒害防止効果は著しかった。植栽木の樹高生長はカラマツ 林下の方がアカマツ林下よりすぐれており,間伐率が高いほど生長がよかった。

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