越後平野周辺丘陵地帯の主要な森林土壌の特性と生成(第1報)

−一般化学性および遊離酸化鉄−

山家富美子,八木久義

   要旨

 新潟県の丘陵地に分布する赤色土,赤色系褐色森林土,黄色系 褐色森林土および褐色森林土について,遊離酸化鉄含有率や結晶化の程度を調べた。その結果の 概要は以下に示すとおりである。
 1)調査した土壌はいずれも塩基の洗脱や土壌の酸性化が進んだものが多く,その程度と遊離酸化 鉄含有率との間には関係が認められなかった。2)苦鉄質鉱物の風化による遊離酸化鉄の生成の程 度は,同一土壌亜群内にあっても土壌によってまちまちであり,亜群間の差異は認められなかった。 3)非晶質の遊離酸化鉄含有率および遊離酸化鉄の結晶化の程度も同一亜群内で土壌によってかな りの幅があったが,これらと各土壌亜群との間には,ある程度の関係が認められた。しかし活性度の 値を土壌亜群の区分基準に使うには無理があった。4)結晶化指数は活性度と全鉄に対する遊離酸 化鉄の比の両者によって支配され,両者の値が各土壌亜群ごとにバラツキがみられるので,結晶化 指数もまた同様に各土壌亜群ごとにバラツキがみられた。それ故に結晶化指数を土壌区分の指標と して使用するには無理があった。

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