(研究資料)

茨城県下畜産業におげるのこ屑の使用

桜井孝一,山口彰

   要旨

 畜産業によるのこ屑の使用実態を知るため,アンケートおよび聞き取り による調査を行った。アンケート調査の目的は,のこ屑使用率,使用量,のこ屑使用の今後の動向等を知る ことであり,茨城県下の牛,豚飼育農家1,000戸にアンケート用紙を送付し,同答を求めた。回収率が27%弱 と低かったため,使用率については必ずしも十分活用し得るデータは得られなかったが,その他の項目につ いては種々参考となる資料が得られた。結果の主要なものは,1)飼育規模が大きいほどのこ屑使用率が高い。 使用率はおよそ牛で50%,豚で20%。2)のこ屑入手は自分で工場引き取りに行くもの67%,集荷業者または 農協よりの購入は30%,運搬距離はトラック片道1時間以内が76%。3)使用量は1頭当たり肉牛で8m3/年,肥育豚で0.5m3/年。4)価格はまちまちで, のこ屑市場の実態をそのまま表すような結果となったが,m3当たり工場渡 しで1,500〜2,000円,庭先渡しで2,500〜3,000円程度が現在の実勢価格と思われる。5)不足した場合の対策 として,稲わらに頼ろうとする志向が強いが,これが可能かどうかは疑問。6)廃材破砕粉についての関心は まだ低い。等であった。木材工業からののこ屑供給には限界があり,畜産業による需要が続くかぎり,供給不 足,価格上昇の傾向が続くであろう。この問題の解決のためには地域的組織化により,購入,分配の円滑化を 図るとともに,本材工業と畜産業は協力して,代替資材である廃材破砕粉の利用を促進する必要があろう。

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