トドマツ入工林の最適間伐計画に関する研究

真辺 昭

   要旨

 将来の収益の現在価を最大にする間伐方法の時間的な系列−最 適間伐計画−を,林分条件ごとに決定する問題を考えた。まず,LEHRの土地期望価式から動的計画 法の考えに従って必要な繰り返しの関数方程式を導き,多段階最適化問題として定式化した。この繰 り返しの関係式に,さきに提示したトドマツの収穫予測,収益評価システムを組み入れ,標準的な間代 の繰り返し期間,林業利率,立木価格の評定要素を仮定して,(1)間伐方法の選択に制約をおかない 保育的間伐,(2)間伐収益が正になる間伐方法のなかだけで総収益の最大化をはかる利用的間伐, の二つの場合について最適解を求めた。この結果は,地位,生育段階,林分密度および立木度のクラ スごとに,最も適切な間伐率と間伐種を指示する間伐指針表として与えられる。これに再び収穫予測, 収益評価システムを適用すると,任意の初期外分条件に対する最適間伐計画とそれに従うときの生育 過程および予想される収益が収穫表形式で得られる。これらの結果によって,保育的間伐と利用的間 伐の特徴点を述べ,トドマツ人工林の間伐のあり方について考察した。さらに,間伐の繰り返し期間, 生産費,林業利率などを変更したときの最適解の変化を吟味し,また経営事情を考慮しながら,標準 条件の間伐指針をもとにして,実行可能な間伐計画を求める会話型の計算システムを作成して,それ による計算例を示した。

全文情報(2,850KB)