(研究資料)

八ツ尾山ヒノキ収穫試験地(74年生)における林分の生長経過と冠雪害について

長谷川敬一

   要旨

 この報告は「八ツ尾山ヒノキ収穫試験地」の40年間延べ8回にわたる調査資料 に基づいて,林分の生長過程を解析するとともに,昭和56年12月の冠雪害の態様を林木の形態により分析したも のである。平均5年の調査期間における年平均直径生長量は,間伐直前の外分密度と高い相関のあることを示し, 間伐による生育空間の拡大が直径生長量に及ぼす効果は少くとも5年程度のずれのあることを明らかにした。さら に胸高直径に対する樹高,形状比の関係の経年変化を精度よく推定した。
 冠雪害の被害率は,一般的に形状比の高い林木で高くなる傾向が認められたが,被害態様は形状比級で異な り,形状比の低い級では樹冠内折損,中間級では樹幹折損,高い級では曲がりの被害の多いことが明らかとなっ た。さらに樹冠の形態と関係の深い樹型級と被害率の関係を調べ,樹冠が特に発達した2級木aでは被害が少な いのに対し,樹冠が偏倚している2級木cでは多くなっていることを示した。一方,樹幹折損は樹高の下から30%前 後で,また胸高直径の70〜80%の直径の位置で多くみられ,樹幹折損に伴う割裂部の長さは折損位置の低い程 大となる傾向を認めた。このような結果から冠雪害を受け易い林木の特徴を明らかにした。

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