林業用鋼索の疲労に関する研究 第6報

主索(特殊ローブ7種)の疲れ寿命試験

柴田順一,大川畑修,広部伸二,冨永 貢

   要旨

 架空線集材装置の主索に用いられるワイヤロープのうち,JIS規格に 規定されていない“特殊ロープ”と呼ばれる,高抗張力・三角ストランド・異形線など独自の特徴を持っ た7種類を対象とした,小角度曲げ疲れ試験を行った。試料は24mmおよび26mm径のもの合わせて103本であ り,試験方法は前報(林試研報213・324号「林業用鋼索の疲労に関する研究第2報および第5報」の結果に 基づいている。試験条件は24mmロープでは張力12000kgと8000kgで横荷重は1500kg,26mmロープでは張力 14500kgと9500kgで横荷重は1800kgであり,寿命の判定は1より長さの間に4本の断線を生じた時点とし, それまでの走行車輪の往復回数を寿命値とした。ロープ種類ごとの寿命平均値は24mmの場合8657〜24456 回,26mmでは6817〜22860回などその範囲が広く,種類間に試験条件に共通した有意な差が認められた。 この差の中には,ロープ断面積・実際切断荷重など寿命との関係が推定できる要因による部分と,ロープ の構造や材質など本質的で総合的な結果としての差が含まれる。寿命に達したロープの残留強さは新品時 の75〜87%,同じく残留エネルギは23〜35%であり,これらの間には高い相関関係が認められた。疲れの 進行に伴う断線の発生と増加傾向および断線の種類について観察したが,初断線は寿命のおよそ58〜76% の時点で生じ,谷断線と心線断線の発生が寿命末期に現れる例がみられた。

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