木質廃材堆肥に関する研究 第4報

バークおよびバーク堆肥の有機物組成

河田 弘,白井喬二

   要旨

 ヘムロックと広葉樹の剥皮直後の新鮮バークおよび野外貯蔵バー ク,鶏糞およびこれらを原料とする市販バーク堆肥の有機物組成をWAKSMAN法に よって検討した。新鮮バークではヘムロックは広葉樹に比べて,エタノールベンゼン可溶物,リグニ ンが多く,ヘミセルロース,粗タンパク質が少なかった。バークの野外貯蔵中の変化としては,エタ ノールベンゼン可溶物,熱水可溶物,ヘミセルロースの減少とリグニン,粗タンパク質の増大が見ら れたが,セルロースの変化はめいりようでなかった。鶏糞はバークと比べて熱水可溶物,粗タンパク 質が著しく多く,セルロース,リグニンが少い点に特異性が見られた。ヘムロックバーク堆肥は野外 貯蔵の場合より粗タンパク質は著しく増大したが,その他の画分はわずかに減少したに過ぎなかった。 広葉樹バーク堆肥はC-N比の小さいほどヘミセルロース,セルロースの減少および粗タンパク質の増 大がみられた。ヘムロックおよび広葉樹のバーク堆肥について慣行堆肥で熟成の指標として慣用され ているC-N比と各有機物画分との相関性を検討した結果,リグニンは有意な相関は認められなかったが, ヘミセルロースは有意な正,エタノールベンゼン可溶物,セルロースおよび還元糖割合はきわめて有 意な正,熱水可溶物,粗タンパク質はきわめて有意な負の相関が認められた。したがって,有機物組 成の面では,各画分中量的に主要な地位を占めるセルロースの変化を熟成の指標として用い得る。

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