フィリピン共和国パンタバンガン地域の土壌と立地区分に関する研究 第2報

土壤の分類・命名と調査地の立地区分

八木久義

   要旨

 前報の結果に基づいてフィリピン共和国パンタバンガン地域の土壌を,U.S. SoilTaxonomy(1975)およびFAO/UNESCO方式により分類・命名するとともに,熱帯草原状無立木地の森林造成における適樹種の選定,造林保育方法の選択,適地判定,および植栽木の生長量の予測等の基礎とするために,主として地形,植生,および土壌の違いに基づいて,調査地の立地区分を行った。 また,これまで同地域で植栽されてきた主な樹種の活着状況や生長状態等から,各立地区毎に造林可能な樹種についても検討を加えた。それらの結果の概要は次のとおりである。
 1.鈍頂尾根から山腹斜面にかけてはUltisolsやAlfisolsが,山麓緩斜面にはVertisolsが,そして急斜面(28以上)には Inceptisolsが主として分布する。
 2.調査地は,母材の分布やその性質と密接な関係を有する地形によってまず5タイプに区分され,さらに立地条件を良く反映する草本植生や土壌の違いに基づいて細分され,最終的に13タイプの立地区に区分された。
 3.平衡斜面〜凹形斜面にかけての理化学性の良好なVbおよびWbタイプのところでは,用材用長伐期広葉樹種による造林が可能と考えられるが,その他のタイプのところでは,それぞれの立地条件に応じて各種の早生樹種やマツ類による早期緑化が望ましい。

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