熱帯産造林木の材質 第1報

フィージー産カリビアマツ

熱帯産造林木研究班

   要旨

 カリビアマツは,熱帯に植林されている造林木のうちでも,最も期待されている樹種の一 つである。フィージーでも,すでにパルプ材として利用可能な大きさになったものが少なくない。フィージーからの丸太輪入 の機会に試料を入手し,木材利用の基礎となる諸性質について検討を行った。
 明らかになったことを挙げると,基礎材質については 1)仮道管の寸度:アカマツに比較して大きい,2)気乾容積重(アル コール−ベンゼン未抽出試料):530(400〜670)s/m3,3)生長輪幅:髄付近では35oに 達するものもあり,供試木ごとの平均生長輪幅は5.2〜13.1o,4)繊維傾斜:8.6〜38%で,アカマツに比較して大きい,5)吸 水量:日本産で最も多いクロマツより多い。
 次に,平角実大材の曲げ試験の結果,ヤング係数の範囲は56.6×103〜138.9×103sf/p2 で,平均値は88.7×103sf/p2,破壊係数の範囲は194〜605sf/p2 で,平均値は426sf/p2であった。ひき材の乾燥適性については,水分の移動性が良 好で乾燥所要時問は比較的短く,初期割れのやや発生しやすいものもあったが,実務上問題は少ない。パルプ適性については, パルプ化は容易で,精選収率47〜48%が得られた。また,強度的にはアカマツに比較して裂断長,比破裂強さで劣るが,比引裂 強さではすぐれていた。

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