(研究資料)

Fomes pini腐朽材の性能評価

Fomes pini腐朽材研究班

   要旨

 Fomes pini菌によって腐朽した木材を実用に供した場合に,この菌による障害が生じる か,否か,またその材質評価を行ってJASに関連する資料を得ることを目的とした。
 供試材は国産エゾマツとカナダ産ウェスターンヘムロック,ダグラスファー,スプルース等の樹種を使った。
 耐朽性については,腐朽度が進むほど多孔質となり,吸水速度が大きくなるためか,健全材に比ベて,他の木材腐朽菌によって腐 朽し易くなる。温度と湿度が異なる4つの環境下に18か月間放置しても,実用上支障のある強度低下は生じなかった。また,それぞれ の環境下に放置された材中のFomes pini菌は18か月後においても生存しているものが多かった。204実大材の曲げ強さは腐朽度 が大きくなるに従って低下し,機械による応力等級区分の必要性が示された。くぎ保持力は腐朽度が大きくなるほど低下するが,目視 による腐朽度の等級区分とくぎ保持力とは必ずしも一致しない場合があった。
 以上の結果から,この腐朽材を実用に供してもFomes pini菌による障害は起らないという米国の報告と同じ結論が得られた。 しかし,初期腐朽時においてFomes pini菌による腐朽か,他の菌による腐朽かを区別すること,ならびに腐朽度の大小を適切 に評価して区分する技術が未だ確立されていないので,今後JAS化にあたってはこの点について慎重に検討すべきである。

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