木材に取り付けられたアルミニウム合金の腐食

今村浩人,木口 実

   要旨

 木材に取り付けられたアルミニウム合金製のサッシに発生する腐食は,海水に由来する木 材中の塩化物が主な原因とされている。本研究ではアルミニウム合金の腐食の発生原因をさらに明月らかにし,防止対策の資 料を得ることを目的とした。実験としては,木材にアルミニウム合金をステンレス釘で固定した試験体および木粉中にアルミ ニウム合金を埋め込んだものを湿潤に保ち,アルミニウム合金の腐食量を求めた。その結果,アルミニウム合金の腐食量は木 材の食塩含有量とともに大きくなる傾向がある。とくにイオン化傾向でアルミニウム合金より低い順位にある銅やステンレス 鋼が接触すれば腐食は促進される。サッシではステンレス鋼の木ねじを使用しており,腐食は接触部に発生する。実際に腐食 の発生したサッシに使用された木材のねじ穴部分の塩化物含有量は他の部分より高い。これは,ねじ穴を通じての水の侵入お よび脱出のくり返しに伴って,この部分に塩化物が蓄積されたものと考えられる。腐食の防止方法は,未乾燥材や塩化物の多 い材を使用しないこと,サッシとステンレスねじおよびねじと木材をそれぞれ接触させないことであり,例えばねじ穴にシリ コンのコーキング剤を注入したうえでねじを締めると効果がある。

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   −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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