熱帯産造林木の材質 第2報

パプア・ニューギニア産カメレレ

熱帯産造林木研究班

   要旨

 パプア・ニューギニア国ニューブリテンのケラバット,ホスキンス,ブプシ,モサ,タバ ウ・リカウなど各地産のカメレレ(Eucalyptus deglupta BLUM.)の造林木について,基礎材質 ならびに加工的性質について試験を行った。
 試料木の数は27個体で,その丸太の数は74本である。試験した項目は解剖学的性質,容積重,収縮率,吸水量,強度,帯の こによる鋸断性,ひき材の乾燥性,単板切削,単板の接着性,パルプ化などである。
 容積密度数は6年生で268〜405s/m3,18年生で282〜527s/m3 である。後者のように樹齢が高くなると,容積密度数は髄から半径10〜15pの範囲までほほ一定で,その後外側に向かって高 くなる傾向が見られる。静的曲げ強度性能も容積密度数と同様な傾向をもつが衝撃曲げ吸収エネルギーの値は樹心付近で他に 比較して著しく低い値を示す。吸水量は国産樹種の低位のものに匹敵する。帯のこによる鋸断性は問題はないといってよいが, 樹齢の若い部分が多いため挽き材後の曲りを考慮しなけれはならない。ひき材の乾燥は容易で,速度は速い。単板の切削では, 条件を適切にすれば裏割れや面あらさなどが利用上支障のない程度のものが得られる。ユリア樹脂接着剤による接着は良好で あったが,フェノール樹脂接着剤の場合,部分的に接着性の劣る傾向があった。強度的性能が要求されない用途の合板ならば 製造できる。クラフト法によって容易にパルプ化されたが,国産材に比較して薬液消費量が高い。

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    −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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