トラクタ集材路網の配置に関する研究 第1報

トラクタ集材のための地形区分

井上源基

   要旨

 トラクタ集材作業計画に係わる問題として,各種の集材現場に対し て技術的かつ経済的に適切な集材方法や集材路網計画を確立しようとする場合,まずトラクタ集材現場 の地形条件を定量的に把握する必要があり,様々な集材現場に対して統一性のある機能的分類表示が要 望される。本報では,トラクタ集材路網の導入に対して影響を与える地形・地表因子について,代表的 なトラクタ集材地を対象としてその記述表示法について検討した。また想定林地を設定し,トラクタの 走行難易度について明らかにし,トラクタ地形分類の評価法を提示した。主要な成果は次のとおりであ る。
 1)トラクタの林地への導入に際し障害となる因子は,(1)地形傾斜因子(平均傾斜,傾斜度の分布, 傾斜方向の分布状態),(2)地表障害物因子(密度,平均径,分布状態),(3)地表状態因子(土質, 含水率)となり,これらの因子の分類により,林地条件を特徴づけることができた。
 2)トラクタの林内走行の到達難易度について,1)の各因子の異なる想定林地に対しシミュレーショ ン試験を行った結果,その走行難易度は,1)の各因子を含む関係式で表すことができた。
 3)トラクタ集材地形に対する評価法として,地表障害物に関する指数(Tr)と地形傾斜 及び地表状態に関する指数(Ti)からなるトラクタ地形指数を算定し,この地形指数により トラクタ地形を簡易に分類する方法を提示することができた。

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    −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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