パプア・ニューギニア産材の解剖学的識別

須藤彰司

   要旨

 パプア・ニューギニアに産する木材は,アジアの熱帯諸地域に産する南洋材とは 異なり,少数のフタバガキ科からの樹種を含んではいるが,ほとんどがlesser-speciesと呼ばれている多数で,しか も,個々には蓄積の少ない樹種である。
 この報告では針葉樹3科8属10種,広葉樹57科169属約270種からの木材をとり上げ,それらの識別を行うために必要 な肉眼的および解剖学的性質の記載を行った。この結果,今まで未記載であった性質が数多くの樹種について認めら れた。これらの記載に基づいて,重要でかつ把握し易い17の識別拠点を出発点とした2又式による検索表を提出した。 さらに,筆者によりすでに提案されている広葉樹材の識別カードを用いた識別を実施するために,各樹種の性質のな かから識別に必要な拠点となるものを選びカードの項目番号に読みかえて記載した。この記載はカードによる識別の みならず,コンピューターを用いた識別にも利用できるものである。
 ここでとり上げた樹種は,木材として一般的に利用されているもの,あるいはその可能性が高いものであることか ら,この報告は,パピア・ニューギニア地域からの木材の識別に大きな役割をはたす筈である。

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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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