トラクタ集材路網の配置に関する研究 第2報

トラクタ集材のための集材路網計画法

井上源基

   要旨

 集材路網計画は,集材路を「どこに」「どれだけ」あるいは「どのように」導入するか ということをあらかじめ計画してやることであり,適正な集材路網密度であるかどうかあるいは適正な集材路網配置である かどうかは,集材作業の成否を決定する重要な因子となる。本報では,トラクタ集材路網計画に関する諸事項について検討 するとともに,集材路網の配置計画法について総括的に論じた。主要な成果は次のとおりである。
1)トラクタ集材路網の特徴を把握する方法として,集材路網の配置の偏りを表す指標(f値)と集材路網の形態の違いを示 す指標(p値)を提示し,これらの指標による集材路網の分類法を明らかにした。一般的なトラクタ集材路網ではf値は112, p値は2/3となることがわかった。
2)トラクタ地形傾斜区分ごとの最適な集材路網型および集材方法は,地形が平坦一緩斜地では単線型路網や放射型路網と なり,伐倒木近くまでトラクタを導入する集材方法となる。中斜地では集材距離が最も小さくてすむ樹枝型路網となり,平 均木寄せ距離が約15mになるように集材路網を配置する方法となる。また急傾斜地では,幹線作業路を並設した路網型となり, 地形傾斜ごとの幹線作業路と作業路の合理的な密度分担比を明らかにした。
3)本研究の適用例として実際の集材地を対象にトラクタ集材路網計画を行った。その結果,適正集材路網密度や具体的な 集材路線の選定を一貫して電算機処理することが可能となり,集材路網の型や配置,導入順序,集材路の等級の配分に対す る客観的な評価が得られることが明らかとなった。

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−林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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